血管カテーテル検査・治療時(IVR)の患者局所被ばく線量をリアルタイムにモニタリングするためのシステム開発を目的として各種基礎実験を行った。本システムはセンサーに人工ルビーを使用しその出力をフォトンカウンタを用いて核医学の計測方法を使用した点で新しい放射線量測定システムである。基礎研究で行った測定について下記に示す。 ・開発したシステムのエネルギー依存性、・同線量率特性、・同方向依存性、・複数の異なった人工ルビーを使用した場合の各センサーの特性測定、・臨床における本システムの取り回し方法などである。当初の目的であった測定システムは理想的に完成し、各種の特性は、・エネルギー依存性:他の線量計と同等以上の特性を有す、・線量率特性:線量率に応じ直線的に変化する優れた特性を有す、・方向依存性:他の測定器と比較しても非常に優れている、・複数のセンサー使用時の個々のバラツキ:校正曲線を用いることで容易に校正可能、・本システム設置時の臨床における取り回し:センサーそのものが非常に細い(直径2mm)光ファイバーを使用しているため大変良好である。などの結果を得ることが出来た。また、これらの結果は国内学会にて5回、国際学会にて2回ほど発表を行い、一部のメーカーなどからの問い合わせも現在来ている状況であり、論文も投稿中である。 これらを踏まえ、本研究期間内において当初の予定通り理想的な線量計の開発が出来たものと考えている。しかしながら、学会発表のタイミングがちょっと早く、特許の出願が出来なかった点、さらには人工ルビーを同時に複数点設置し多数点同時被ばく線量測定システムを構築するにあたってはハードウェアの制限から2点の同時測定しか出来なかった事が心残りである。これらに関しては新たなハードウェアを使用する事で対応できると考えており、次期システムの構築に対し再度科研費を請求する予定である。
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