研究課題/領域番号 |
25670533
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
畑澤 順 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70198745)
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研究分担者 |
渡部 直史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90648932)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アセチルコリンエステラーゼ / アセチルコリン / PET / ドネペジル / 膵 |
研究実績の概要 |
【目的】本年度は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤 DonepezilのC-11標識体C-11 Donepezilの健常成人における膵臓への集積を定量的に評価することを目的とした。 【方法】10例の健常女性(平均年令45.5)を対象に、PET(島津製作所製、エミネンスG)を用いて、C-11 Donepezil投与後56分間の全身動態撮像を行った。C-11 Donepezilの比放射能は37.3±11.7GBq/micromol、平均投与放射能量は214±13MBq、平均薬理学的投与量は2.5±1.4microgramである。動脈血化静脈血を採取し、血液中の放射能濃度、未変化体および代謝物分画を測定した。また、LC/MS/MSを用いて血液中のDonepezil濃度を測定した。各人の膵へのC-11 Donepezil集積は投与放射能量と被験者の体重で補正した標準化集積値(Standardized uptake value;SUV)で評価した。 【結果】C-11 Donepezilの膵のSUVは静脈投与後4分、12分、20分、28分、36分、44分、52分で各々6.0、8.0、8.2、8.3、8.4、8.1、8.0であった。投与後52分では全身臓器の中で肝についで高集積であった。血液中の未変化体は投与後30分で平均74±26%であった。血液中Donepezil濃度は24.4±12.2pg/mlであった。 【結論】健常人におけるC-11 Donepezilの膵への集積を定量的に評価した。臓器の中では肝臓に次いで高集積であり、集積は撮像時間中持続した。血液中の未変化体の割合が高く、分解は比較的緩徐と推定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は実験動物PETにて、C-11 Donepezilの膵集積、膵組織のアセチルコリンエステラーゼ濃度の測定を行い、全身分布、排泄経路、アセチルコリンエステラーゼ濃度に対するC-11 Donepezil集積量を評価した。平成26年度は健常人において、C-11 Donepezilの血液中代謝産物、膵への入力関数、膵への集積量を測定した。平成25年度、および26年度でC-11 Donepezil PETによる膵イメージングの正常人データベース、血液中代謝分画、入力関数のデータベースが完成した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は膵炎モデル動物、および膵機能障害(外分泌機能障害、糖尿病など)の症例で臨床研究倫理審査委員会の承認後、PET検査を計画する。膵代謝機能を指標にした画像診断法は現在臨床的なニーズは高いものの充分確立されていない。これまで蓄積したデータをもとに短時間、非侵襲な撮像法と解析法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の研究計画(健常人のPET検査等)の費用を勘案したため
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次年度使用額の使用計画 |
倫理委員会審査費用および被検者リクルート費用に用いる
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備考 |
大阪大学における前臨床PET研究施設
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