研究課題/領域番号 |
25670533
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
畑澤 順 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70198745)
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研究分担者 |
渡部 直史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90648932)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アセチルコリンエステラーゼ / アセチルコリン / PET / ドネペジル |
研究実績の概要 |
膵アセチルコリン代謝の検討にあたって、小動物の膵でのアミノ酸トランスポーターの発現について検討を行った。アミノ酸PETプローブはヒトの評価が比較的確立されており、今後アセチルコリンを含む膵代謝をPETを用いて定量化するにあたって、有益な情報を得ることができる。具体的な手法として、アミノ酸PETプローブのC-11 メチオニン、F-18 FAMT、およびF-18 FBPAを用いて、麻酔下のラットに頚静脈的に投与を行い、30-70分間のダイナミックPET撮像を行った。PETデータは各2分間の時間フレームで画像再構成を行い、膵臓への集積について動態解析を行った。その結果、多くのアミノ酸トランスポーターで輸送されるC-11 メチオニンについては投与8分後以降はSUVmean=2程度の安定した動態を示した一方で、L型アミノ酸トランスポーター(LAT1)の選択性の高いF-18 FAMTおよびF-18 FBPAについては、投与4-8分後にそれぞれSUVmean=6,4のピークを迎えた後に緩やかな洗い出しを呈した。膵については腺房細胞へのアミノ酸トランスポーターの発現が報告されているが、今回PETを用いたin vivo動態解析により、L型アミノ酸トランスポーター(LAT1)を介した交換輸送が大きく関与している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
膵のアセチルコリン代謝について、これまでヒトと小動物におけるC-11 Donepezil PETを用いたアセチルコリンエステラーゼ分布を報告したが、今回アミノ酸トランスポーターの機能的発現と併せて評価を行い、膵代謝の定量的評価が確立されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
膵臓は小動物PETにおいて評価が難しい臓器であるが、ヒトにおいても膵代謝を定量的に計測できる手法は確立されていない。今後、小動物で得られたアセチルコリンエステラーゼの分布ならびにアミノ酸トランスポーターの知見を元にヒトでの定量的評価につながる評価手法を確立したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
C-11 Donepezil PETの正常人膵臓データをもとに慢性膵炎症例の臨床研究を計画したが、放射性薬剤標識合成のGMP(Good Manufacuring Practice)化、標識合成装置の入れ替え、標識合成法の確立、PET施設の改修がありPET検査を予定通り行うことができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
施設改修工事、新規標識合成装置の設置が完了したので、臨床研究倫理審査委員会の審議、承認後に、前年度に計画した臨床研究を行う。研究費は倫理委員会審査費用、標識薬剤合成費、研究成果の公表、などのために用いる。
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備考 |
補助事業期間延長承認 平成28年3月22日
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