研究課題/領域番号 |
25670538
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
森口 央基 駒澤大学, 医療健康科学部, 教授 (70296705)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射線医学 / MRI / 画像再構成 |
研究実績の概要 |
本研究ではMRIにおいてデータ収集を一部しか行わず、残りのデータは収集されたデータから推測しようとするものである。この際推測されたデータを本研究では「仮想データ」と呼んでいる。一般にMRIでは、繰り返し時間(TR)などのパラメータが決まれば、データ収集の量に応じて撮影時間が決まる。即ち、データ収集を周波数空間(k-space)の一部に制限することにより、撮像時間は短縮されることになる。ただし、仮想データが不正確であれば再構成された画像の質は低下する。そこで、本研究では仮想データの正確性を高めるため、画像の正確なphase情報を求めることを目標にしてきた。 ところが、今までの実験と考察から、限られたデータからphase情報の正確性を向上させることは当初の予想以上に困難であることが判明してきた。昨年度述べたように、圧縮センシングで使われる再構成法では結果がデータサンプリングのパターンに依存し、データを比較的ランダムに収集したときにしかアーチファクトを有意に低減させることができない。結果がデータサンプリングのパターンに依存するという制限は、昨年度の研究においても克服できなかった。 また、以前にも述べたように、spiralやzigzagなどの特殊な軌道を使ってデータを収集した場合、正確な画像のphaseを用いたとしても、再構成された画像で折り返しアーチファクトに類似したアーチファクトが出現する。これについては昨年度も原因が判明せず、今でも解明に向けて検討を重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上述した通り、限られた収集データから画像の正確なphase情報を推測することは極めて難しい。この目的達成のためには、現在よく使われている画像再構成のアルゴリズムを組み合わせることでは不充分であることがわかってきた。現在までのところ、本研究は正確なphase情報を抽出することに時間をかけてきたが成果がでておらず、これから先の研究に進展させることができていないため。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り、本研究は現況では行き詰まっているため、今後は研究の方向性を少し変えることを検討している。具体的には、今まで限られた収集データから画像のphaseを求めようとしていたのに対し、今後は、複数の画像が必要な再構成のアルゴリズムにおいて、その必要な画像の枚数を減らしていくことが可能かどうか、研究を進めていくことを考えている。この研究では、例えばDixon法から発展したIDEAL法のように、少しずつ撮像パラメータの異なる複数の画像が必要な画像再構成法において、実際に撮像された少数の画像のphaseから他のパラメータで撮像された画像のphaseを推測する、という試みである。これが成功すれば、撮像時間の短縮や信号雑音比の向上に寄与できるはずである。
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次年度使用額が生じた理由 |
「今後の推進方策」で述べた通り、今後は研究の方向性を少し変えて、別の視点から研究に着手する。これらの研究に画像計算用ソフトウエアのライセンス更新料や文献の入手の費用がかかるため。
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次年度使用額の使用計画 |
上述の通り、画像計算用ソフトウエアのライセンス更新や文献入手に助成金を使用させて頂く。また、今後取り組む研究にて何らかの成果が出た場合はその実験結果や研究成果を論文としてまとめ、国内外の学会で発表する予定である。その成果の発信にかかる費用は、本年度分の助成金の残額から捻出する。
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