研究課題/領域番号 |
25670539
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
村田 智 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80322501)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Intervention / 温熱療法 / 灌流療法 / VX2肝がん / 動物実験 / カテーテル |
研究概要 |
平成25年度はうさぎVX2肝腫瘍モデル16羽を作成したが、3羽で実験モデル作成が困難であったため、13羽で肝灌流療法を行った。内訳は抗がん剤を含めない室温(25度)および43度の溶液を灌流させた群(各々3羽ずつ:コントロール群)と抗がん剤(シスプラチン)を含めた25度および43度の溶液を灌流させた群(各々3羽ずつ)の4群、計12羽を使用した。VX2肝腫瘍モデルは全て肝左葉に作成し、肝灌流療法モデルを作成した後、エコー下に腫瘍辺縁に温度針を挿入して治療前から治療後まで温度変化をモニターし記録した。また、治療前後で採血を行い、生化学データを分析した。恒温槽装置で溶液の温度を調節して肝灌流療法を施行した。溶液の注入速度は4 ml/minで投与量40 mlで行った。抗がん剤を含めない溶液では室温(25度)で腫瘍の明らかな増大を認め、43度の溶液でも増大し抗腫瘍効果は認めなかったが、安全性の評価では溶血はなく、手技による生化学変化はあるものの3日目には正常または治療前の値に戻っていた。抗がん剤(シスプラチン6mg)を含めた25度および43度の溶液では腫瘍増大傾向は著明に減少したが、腫瘍縮小までは認めなかった。安全性の評価では溶血はなく、生化学変化も3日目には正常または治療前の値に戻っていた。残りの1羽は55度での高温温熱肝灌流療法を試みたが、恒温槽装置を最大75度まで上げたが溶液のカテーテル出口での温度は45度台にとどまり、55度の設定に達しなかった。そこで動物実験を中断し、溶液を高温で動注するためのカテーテルを素材から検討した。フッ素チューブ等数種のカテーテルを用いてカテーテル出口での温度を測定した結果、ある種の素材で温度を保てる可能性が出てきており、現在、特許申請書類を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた55度の溶液での高温動注療法が通常市販されているカテーテルでは不可能であり、温度保持能力の優れた素材の検討が必要であったため。
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今後の研究の推進方策 |
高温温熱肝灌流療法を施行するため、温度保持能力の優れたカテーテルが必要不可欠であったが、既存のカテーテルではその代用が出来ずに研究計画の遅れが生じた。その対処として現在、特殊素材を用いたカテーテルを作成しており、試作品が完成したので平成26年度はこのカテーテルを用いた高温温熱肝灌流療法の実験とともに温度保持能力がより優れたカテーテル作成と特許申請書類を作成する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の実験計画に遅れがでたため 研究計画の遅れが生じた原因の対処として、特殊素材を用いたカテーテルを作成しており、試作品が完成したので平成26年度はこのカテーテルを用いた高温温熱肝灌流療法の実験とともに温度保持能力がより優れたカテーテル作成と特許申請書類を作成等成果の発表に着手する予定である。
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