研究課題
平成26年度は平成25年度の研究で達成できなかったカテーテル出口での溶液温度55度を実現するため、最初の実験として保温効果の高いフッ素チューブを短くし、恒温槽装置を75度まで上げて再度カテーテル出口の溶液温度を55度にする実験を行った。しかし、溶液温度は48度台にとどまり、55度の設定に達しなかった。溶液を高温で動注するためのカテーテル素材を根本的に見直す必要が問題として残った。現時点での新素材開発は不可能と考え、最高温度48度の溶液設定で温度と抗腫瘍効果との相関関係を検討することした。まず、うさぎ肝に温度針を挿入して灌流前から高温溶液投与後まで温度変化を43度および48度の溶液設定でモニターし記録した。カテーテル出口43度の溶液設定では実際の肝実質の温度は40.5~41度で、48度では42.2~43度にとどまった。次に、うさぎVX2肝腫瘍モデル6羽を作成した。VX2肝腫瘍モデルは全て肝左葉に作成し、肝灌流療法モデルを作成した後、少量の抗がん剤(シスプラチン6mg)を含めた43度および48度の溶液設定で3羽ずつ肝灌流療法を行った。また、治療前後で採血を行い、生化学データを分析した。恒温槽装置で溶液の温度を調節し、昨年度同様、溶液の注入速度は4 ml/minで投与量40 mlで行った。43度の溶液では腫瘍増大傾向はほとんどなく、一部では腫瘍縮小を認めた。48度の溶液でも腫瘍縮小は認めたものの腫瘍消失には至らなかった。安全性の評価では溶血はなく、手技による生化学変化はあるものの3日目ないし5日目には正常または治療前の値に戻っていた。以上の結果から高温での動注療法は有効な手段となりえるが、動物実験でも既存のカテーテルでは48度の溶液設定(肝実質では43度)が限界であり、新素材の開発が急務と考えられた。
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