アミロイド結合性化合物であるチオフラビンTの構造を起源とした放射性ヨウ素標識体を合成し、これを投与して、体外よりアミロイドに結合した標識体の分布を検出することで、アミロイドーシスの診断を行うことを計画した。今回、チオフラビンT中のベンゾチアゾールの6位のメチル基を放射性ヨウ素に変換した化合物1を合成し、その評価を行った。まず、5-bromo-2-aminobenzenethiolと4-(dimethylamino)benzaldehydeとの縮環反応により得た中間体にビス(トリブチルスズ)を反応させ、スズ体を合成し、ヨウ化メチルを用いてベンゾチアゾール骨格の3位にメチル基を導入した。これを標識前駆体として、放射性ヨウ素標識反応の条件を検討したところ、酸性条件下(pH 5.0)、酸化剤としてN-chlorosuccinimideを用いると、最も収率良く進行することがわかった。得られた放射性ヨウ素標識体をマウス血漿中でインキュベートし安定性を検討したところ、24時間後でもほとんど分解を認めなかった。次いで、放射性ヨウ素標識体を正常マウスに投与し、その生体内分布を検討した。その結果、本化合物は脳には移行しておらず、血液脳関門を通過しないことがわかった。また、血液中から速やかに放射能が消失し、投与早期から腎臓、肝臓、脾臓に高い放射能集積が認められた。甲状腺への集積は低く、脱ヨウ素化反応には安定であった。投与24時間後には約70%が排泄されており、体内からの消失は良好であることが示された。
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