研究課題/領域番号 |
25670555
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
秦 浩一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90523118)
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研究分担者 |
上本 伸二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252449)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脂肪肝グラフト / 灌流保存 / 脱脂肪化 |
研究実績の概要 |
(1)脂肪肝に対する室温灌流保存 ラット大滴性脂肪肝を単純冷保存群(4℃HTK液)と室温灌流保存群(Polysol液、動門脈灌流)の2群に分け、体外再灌流モデルで比較検討した。再灌流後の門脈圧(p<0.05)や、AST (p<0.01)、ALT (p<0.01)など灌流液中肝逸脱酵素値は灌流保存群で有意に低く、また胆汁産生量は有意に多かった (p<0.01)。組織学的に冷保存群で著明であったzone-3の肝細胞空胞変性は灌流保存により有意に抑制された。灌流保存群で有意な酸化ストレス傷害の抑制(肝TBARS, p<0.05;肝グルタチオン, p<0.05)、ATP保持(p<0.01)とミトコンドリア傷害の抑制(灌流液中GLDH;p<0.01)が認められた。また単純冷保存群で電子顕微鏡上観察されたミトコンドリアの腫大や類洞壁の破壊も、灌流保存群で有意に抑制されていた。
(2)灌流保存による脂肪肝の脱脂肪化 酸素運搬体を含有しない灌流保存液を使用した場合、37℃灌流では酸素供給量が不足する。灌流液中の酸素濃度を検討した結果、30℃灌流は酸素供給が可能であった。 30℃条件下にカルニチン、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体アゴニスト、AMPキナーゼ活性化剤を投与・灌流した。肝組織中トリグリせライドの明らかな減量効果は確認できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
灌流保存による脂肪肝の脱脂肪化の検討実験は開始したが、有用な脱脂肪化薬剤およびプロトコールの確立に至っておらず、有意な脱脂肪化regimenの確立に向けて検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
・体外再灌流モデルで確認された灌流保存による保護効果を体内再灌流モデルで検討するべく、脂肪肝の灌流保存‐肝移植モデルを確立する。
・脱脂肪化薬剤の検索を継続し、脱脂肪化の可否を検討する。
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