研究課題/領域番号 |
25670558
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
後藤 満一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50162160)
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研究分担者 |
見城 明 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (40305355)
木村 隆 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00381369)
穴澤 貴行 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90566811)
土屋 貴男 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (70343390)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 腫瘍免疫 / 徐放物質 / フィブリン / OK-432 |
研究実績の概要 |
肝細胞癌に対して、フィブリンとOK-432を用いて動脈塞栓術を施行した後に手術で病変を切除することで、手術単独を行った群と比較して術後再発が優位に抑制されることを報告し、摘出標本の解析から腫瘍内の樹状細胞・細胞障害性T細胞・マクロファージの増加、抑制性T細胞の減少を明らかにし、再発抑制には免疫系の関与を示した。本研究は、細胞遊走や増殖に関わるサイトカインなどのリザーバーとしての機能および細胞浸潤の足場としての働きがあるフィブリンに注目し、免疫細胞を強く活性化するOK-432を用いて、固形がんに対する免疫療法の開発に向けた基礎研究を行うことを目的とした。平成25・26年度を通じて、下記を実施した。 ①フィブリノゲンの濃度によりフィブリン網の目の粗さが変化することを電子顕微鏡で観察し、実験に使用する希釈倍率を決定し、フィブリン網内でのOK432の局在についても観察した。 ②フィブリン網内に侵入したマクロファージがOK-432を貪食しさらに遊走能を増すことを走査顕微鏡で観察した。遊走能に関する評価法として、フィブリン3D培地を作成し侵入細胞数・移動距離を測定し評価した。また、侵入マクロファージからのサイトカイン放出に関して免疫染色で確認を行った。 ③ラット門脈塞栓を行い、塞栓物質にフィブリンを含む場合の組織障害が遷延すること、マクロファージ浸潤数が多いことを確認した。浸潤したマクロファージのプロファイルを確認するとM1マクロファージが増加していることが推察された。 以上より、免疫塞栓療法により塞栓局所においてTh1-type免疫環境にシフトし、その環境が比較的長時間維持されている可能性が示唆された。侵入マクロファージの免疫特性については、今後、侵入細胞を回収しmRNAを抽出しarrayにより遺伝子プロファイルを検討する予定である。
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