研究課題/領域番号 |
25670564
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 典彦 北海道大学, 大学病院, 准教授 (30399894)
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研究分担者 |
本間 重紀 北海道大学, 大学病院, 助教 (30533674)
下國 達志 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (30596458)
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40548202)
崎浜 秀康 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (50533676)
武冨 紹信 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70363364)
神山 俊哉 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80322816)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 腫瘍血管新生 |
研究実績の概要 |
まず,高分化型および低分化型腫瘍由来血管内皮細胞の遺伝子発現を比較検討した.腫瘍血管内皮に特異的に発現が亢進している遺伝子として報告がある遺伝子について,定量的リアルタイムPCR法で発現比較したところ,多くの腫瘍血管内皮マーカーの発現が悪性度の高い低分化型腫瘍由来血管内皮において亢進していることがわかった.その中で同定された分子のうち,Gene X,Gene YについてはsiRNAを用いて遺伝子発現を抑制し,in vitroで生物学的な機能解析を行った.具体的には,細胞増殖能をMTS assayにより,血管内皮増殖因子VEGFに対する細胞遊走能をBoyden chamber migration assayにより解析し,Matrigel上での管腔形成能をTube formation assayにより評価した.その結果,Gene X,Gene Y共に腫瘍血管内皮細胞の遊走能および管腔形成能に関与していることが示唆された.さらに市販されているそれらの阻害剤を用いて細胞遊走能を評価したところ,RNAi実験と同様に遊走能が阻害された. 腫瘍血管内皮細胞のGene XおよびGene Yのin vivoにおける機能を評価するため,担癌マウスにそれらの阻害剤を投与した.現在,それらの薬剤投与による抗腫瘍効果を評価している.さらに,血管新生阻害効果を抗CD31抗体を用いた組織学的検索によりMicroVessel Density (MVD)として評価し,転移抑制効果をLuciferaseシグナルを指標にin vivo imaging装置IVIS Spectrumにより解析中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り,低分化型腫瘍細胞由来血管内皮細胞で特異的に発現が亢進している遺伝子を同定し,その分子の阻害実験をin vitroおよびin vivoで進めているが,当初予定していたよりもsiRNAの選別に時間を要したため.
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今後の研究の推進方策 |
阻害剤投与を行った担癌マウスの組織を用いて,血管新生阻害効果,遠隔臓器への転移を組織学的に評価する.次にそれらの腫瘍血管内皮マーカーの発現亢進メカニズムについて,in vitroで低酸素および腫瘍細胞由来液性因子の影響を検討する.さらに,臨床検体を用いてこれらのマーカーの発現とがんの悪性度など臨床病理学的因子との関連を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
同定された分子の遺伝子発現をsiRNAによりノックダウンし,血管新生阻害効果を検討する予定だったが,siRNAの選別に時間がかかったため次年度に繰り越すことになった.
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次年度使用額の使用計画 |
当初予定していた通り,組織学的解析に必要な試薬や抗体に充てる予定である.
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