研究課題
昨年度より解析を進めてきた,腫瘍血管内皮細胞のGene Xのin vivoにおける機能評価を行った.担癌マウスにGene Xの阻害剤を投与し,経時的に抗腫瘍効果を観察したところ,Vehicle群と比べて治療群で腫瘍増殖抑制効果が見られた.腫瘍血管への影響を解析するため,血管内皮マーカーCD31に対する抗体を用いて,原発腫瘍を免疫組織学的に評価した.その結果,CD31陽性血管が治療群において減少しており,血管新生阻害効果が認められた.さらに,in vivoイメージング装置IVIS Spectrumを用いて,肺を含む遠隔臓器への転移を検討した.治療群において肺転移抑制効果が認められ,腫瘍血管内皮マーカーXの阻害が,血管新生阻害効果・抗腫瘍効果をもたらすことが示唆された.がん組織内で血管にマーカーXが発現するメカニズムの解析をin vitroで行った.がん微小環境には,がん細胞由来の液性因子やVEGFが豊富にあり,また低酸素環境になっていることが知られている.血管内皮細胞にがん細胞培養上清を処理したところ,マーカーXの発現亢進が認められた.またVEGF処理によってもマーカー発現亢進が認められた.さらに血管内皮細胞を低酸素(1%酸素)環境下で培養したところ,マーカーXの発現が正常酸素(20%酸素)よりも亢進し,がん微小環境の様々な因子が血管内皮細胞のマーカーX発現亢進に関与していることが示唆された.現在,臨床検体を用いてマーカーの発現とがんの悪性度など臨床病理学的因子との関連を検討している.
すべて 2015
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Int J Cancer
巻: 137 ページ: 2825-2836
, Int J Cancer,