研究課題/領域番号 |
25670568
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小暮 公孝 群馬大学, 生体調節研究所, 研究員 (20125850)
|
研究分担者 |
小島 至 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60143492)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 有茎分節腸管 / 肝組織移植 / 肝幹様細胞移植 / 肝幹様細胞の分化誘導 / 体内型補助肝臓 / 肝移植 / 肝不全 |
研究実績の概要 |
(研究目的)本研究は肝組織片充填有茎腸管グラフト内に肝の体性幹様細胞を共充填しこれを機能肝細胞に分化誘導させることで体内型補助肝臓の開発を目指す。充填された肝組織片は急速に増殖し体積で8-10倍に増大する。この肝組織片の急速な増殖環境下に肝幹様細胞を置くことで予想される様々な増殖因子の影響により肝幹様細胞が機能肝細胞に分化誘導され、それが補助肝臓として機能することを期待している。 (研究方法)Wistar ratを用い、肝左葉切除後、空腸の分節腸管グラフトを作成し、粘膜を削除した後、これに切除した肝をミンチしたものを我々が独自にWistar rat肝から採取しクローナル化した肝幹様細胞30000と混合しグラフト内に充填し、このグラフトを部分肝切後の肝離断端に逢着した。対照として肝幹様細胞30000を鼠径部皮下に移植した。 (結果)肝組織片と共充填した肝幹様細胞は60日後でも遺残肝組織の間や腸管グラフト壁近傍に生着し増殖していた。これらは好酸性の大きな胞体を有し、共充填した遺残肝組織の間に浸潤し、分裂、増殖、融合して肝細胞索類似の形態を形成し、各細胞間には類洞類似の細胞間隙も認められた。一方、グラフト壁に接する部位では同様の細胞が本来の充填肝組織が壊死した中にcell nestsを形成し、それを取り巻くように赤血球の充満した血液路の様なものも認められた。PAS染色でもこれらの細胞の殆どが陽性に染まり、ブドウ糖の代謝産物であるグリコーゲンの貯蔵能を有していることが示唆された。 対照として同量の肝幹様細胞を鼠径部脂肪織内に移植したが赤血球の集積と褐色脂肪組織の増生は認めたものの、肝幹様細胞は全く消失し、その痕跡も認められなかった。 (結語)有茎腸管グラフト内肝組織片との共充填により肝幹様細胞の肝細胞類似細胞への分化誘導が惹起され肝組織類似の組織構築がなされることが確認され、体内型補助肝臓作成への展望が示された。
|