研究課題/領域番号 |
25670570
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野澤 宏彰 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80529173)
|
研究分担者 |
山口 博紀 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20376445)
須並 英二 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70345205)
渡邉 聡明 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80210920)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | mTOR / colitic cancer |
研究概要 |
近年、炎症性腸疾患(IBD)の罹患率の上昇から、腸炎を母地とした発癌colitic cancerの頻度も増加している。一般に炎症に関連した発癌においては活性酸素(ROS)が大きく関与することが言われているが、ROSに応答して細胞内のAktがリン酸化されることが明らかとなった。従ってcolitic cancerではAKT-mTORシグナル伝達経路が活性化している可能性がある。さらにmTORは、タンパク質合成の制御のほか、オートファジーを負に制御することが知られている。我々は、colitic cancer発症において、ROSが引き起こしうるAkt-mTORシグナル伝達経路の活性化が関与していないか、さらにmTORが制御しているオートファジーの役割について解析した。 初年度は、4-6週齢のメスBALB/cマウスにazoxymethan (AOM)およびdextran sodium sulfate (DSS)を投与しColtic cancerモデルを作成し、腫瘍発生のパターンの検討、およびmTORおよびその下流に存在する各種蛋白の発現の解析を行った。上記薬剤投与開始後9週頃より、肉眼的な腫瘍の発生が遠位大腸に認められ15週までに全マウスに腫瘍(腺癌)が発生した。近位大腸での腫瘍の発生はなかった。免疫組織学的にはmTORの染色は確認されなかったが、下流因子である4E-BP1の発現が正常粘膜に比べて腫瘍組織において高発現していた。western blotting解析でも、4E-BP1が腫瘍組織で発現が亢進しており、リン酸化-S6の発現も正常組織に比べて腫瘍組織でより亢進していた。autophagyのマーカーであるLC3の発現は正常、腫瘍組織のいずれにおいても確認されなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AOM, DSSによるcolitic cancerモデルマウスが、過去の文献のプロトコールに従ってこれらの薬剤を投与したにも関わらず、炎症が生じている徴候(下血)がなく、DSSを追加投与せざるを得なかった。したがって統一したプロトコールによるモデルマウスの作成となっておらず、再度のAOM, DSS投与によるマウス作成が必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
あらたにAOM, DSS投与プロトコールの確立するとともに、このモデルマウスを用いて、活性酸素、autophagy, 蛋白合成などmTORの上流下流因子の解析をさらに行うとともに、ヒトcolitic cancer臨床検体におけるこれらの因子の発現についても解析を加えていく予定である。
|