研究課題
炎症性腸疾患(IBD)は慢性的な大腸炎を合併する疾患であり、一部で大腸癌を併発する。一般に炎症に関連した発癌においては活性酸素(ROS)が大きく関与することが言われており、ROSに応答して細胞内のAktがリン酸化されることが明らかとなった。従って、colitic cancerにおいてもAkt-mTORシグナル伝達経路が活性化している可能性が考えられる。さらにmTORは、タンパク合成の制御の他、オートファジーを負に制御することが知られている。ROSが引き起こしうるAkt-mTORシグナル伝達経路の活性化がcolitic cancer 発症に関与しているか、また発癌過程においてmTORが制御するオートファジーの役割を解析することを目標とした。平成27年度は前回のモデルマウスでの問題点を改善し、DSS濃度を2%に統一したモデルマウスの作成を行った。その結果、DSSの投与後には一過性に炎症の影響に伴い体重減少を認めるものの、その後体重は回復し、一方で実際に腸管が短縮している所見を認め、HE染色でも腸管に高度の炎症を確認することができた。また、day70の時点で初回のモデルマウスに比べると腫瘍の形成は緩徐ではあるが、癌組織が小さい段階で検体を採取、確認することが可能であった。1個体から採取できる検体量が非常に限られるため、Akt-mTORシグナル伝達経路の評価を免疫染色とreal time PCRで行うこととした。Real time PCRに関してはGAPDH、TBPを内部標準としてLC3、S6、mTORを指標としてAkt-mTORシグナル伝達経路の関与と炎症、発癌組織の解析を行った。結果、正常粘膜、炎症組織、発がん組織とAkt-mTORシグナル伝達経路の相関は確認されなかった。
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