研究課題
本研究では、human leukocyte antigen (HLA) class Iとkiller immunoglobulin-like receptor (KIR)の遺伝子多型で規定される licensingの累積による潜在的NK細胞活性の強化が、肝細胞癌切除後の再発予後に影響することを明らかにした。すなわち、癌宿主の遺伝子解析により再発高リスク群を選定し、NK細胞賦活療法が切除後補助療法として奏功する可能性が示唆された。SCF・Flt-3・IL-15・IL-7の存在下でヒトCD34+造血幹細胞を培養し、続けてIL-12・IL-18と培養すると、unlicensed NK細胞(KIR- TRAIL+ NKG2D+)が誘導される(iNK細胞)。ヒト線維芽細胞から樹立したiPS細胞をfeeder細胞(M2-10B4)と培養し、CD34+造血幹細胞を誘導しさらにIL-15・IL-3・IL-7・SCF・FLT3・IL-12・IL-18の存在下でfeeder細胞(AFT024)と共に培養し、iNK細胞が誘導し得た。しかし、iNK細胞にKIR分子の表出は未だ確認できておりず、ex vivoでのlicensing法は確立できていない。一方で、CD34+造血幹細胞およびiPS細胞由来のiNK細胞はいずれもCXCR3の表出を認め、肝細胞癌由来のCXCL10 と親和性が高く、chemokine-chemokine receptorによる腫瘍への遊走能が確認された。経口キナーゼ阻害剤であるsorafenibは肝癌細胞のMICA表出を増強し、NKG2Dを介してNK細胞の抗腫瘍活性を増強する。また、低分化肝癌では20Sプロテアソームが高発現すること、プロテアソーム阻害剤(bortezomib)が肝癌にNKG2D ligandの発現を誘導し得ることが確認された。iNK細胞と肝癌細胞株(HepG2・Huh7)をsorafenibおよびbortezomib存在下で培養し、細胞傷害活性に相乗効果を確認した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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