研究課題
GLP-1は膵β細胞を刺激してインスリン分泌を促進し、β細胞の増殖と自死の抑制を来す作用を持つ。最近ではGLP-1受容体を介した糖尿病治療にGLP-1が応用されているが、細胞増殖作用を持つGLP-1の安全性については十分に明らかにされていな。本研究では膵癌におけるGLP-1受容体発現の意義について研究した。GLP-1受容体発現を切除膵癌標本を用いて免疫染色法で評価し、臨床病理学的項目との関連を調べた。また膵癌細胞株でGLP-1受容体発現を抑制した際の膵癌悪性度に及ぼす影響を調べた。GLP-1受容体は膵癌の48%に認めた。GLP-1受容体発現は膵癌の臨床像や予後に影響を及ぼさなかった。一方、リンパ節転移巣の73%でGLP-1受容体発現を認めた。また神経浸潤、血管浸潤部位での発現も認めた。GLP-1発現抑制により、膵癌細胞の増殖、浸潤、遊走能は抑制された。以上より、GLP-1受容体は膵癌患者の予後予測因子ではないものの、転移能に関与している可能性が示唆された。以上の結果は英文論文としてまとめ、現在英文雑誌に投稿中である。
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Pancreas
巻: 43 ページ: 1-6
10.1097/MPA.0b013e3182a71537