研究課題/領域番号 |
25670587
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永井 英司 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30264021)
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研究分担者 |
仲田 興平 九州大学, 大学病院, 助教 (30419569)
宮坂 義浩 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40507795)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 癌関連線維芽細胞 / 細胞外基質クリアランス / オートファジー |
研究概要 |
癌の浸潤の過程で、癌細胞周囲に存在する癌関連線維芽細胞が細胞外基質を分解することで癌細胞の遊走するスペース生み出すという細胞外基質クリアランスは非常に重要な役割を担っている。一方で癌細胞が浸潤する際には、上皮間葉移行と呼ばれる間葉系の形態への変化をきたすとされている。我々は上皮間葉移行をおこした癌細胞と癌関連線維芽細胞との形態の相同性に着目し、上皮間葉移行を生じた癌細胞も癌関連線維芽細胞と同様に細胞外基質リモデリングに関わっているのではないかと考えた。本研究は、細胞の自己成分である細胞内小器官をリソソーム内に取り込み、分解する細胞代謝機構であるオートファジーに着目し、癌細胞による細胞外基質クリアランスにオートファジーが関与していることを解明し、新規膵癌浸潤機構を明らかにすることによって癌の新規治療法の開発を目指している。本年度は、膵癌細胞と膵星細胞との共培養実験において、オートファジー抑制剤である3-MAを添加することで膵癌細胞の浸潤能が低下することを確認した。また、膵癌細胞株におけるオートファジー活性について、LC3というオートファジー活性の指標となるタンパクの発現レベルをwestern blotで確認したところ、細胞株毎に活性が異なっていることが明らかとなった。 今後は、膵癌細胞におけるオートファジー活性と上皮間葉移行との相関について検証する。具体的には、TGF-βによる膵癌細胞における上皮間葉移行の誘導が、膵癌細胞のオートファジー活性や基質クリアランスに影響を与えるかについて検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、膵癌細胞と膵星細胞の共培養において、オートファジー抑制剤である3-MAの添加が膵癌細胞の浸潤能を抑制することを確認した。また、膵癌細胞株もそれぞれでオートファジー活性が異なることをwestern blotで明らかにした。今後これらオートファジー活性と、上皮間質移行の発現マーカーであるE-cadherinやVimentinの発現との相関関係を調べることで、オートファジーと上皮間質移行の相関関係を調べることができると考える。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光標識コラーゲンを用いて、膵癌細胞株でコラーゲン分解機構を有する細胞と有さない細胞をセルソーティングにて分取し、それぞれのphenotype における遺伝子発現の差異を網羅的に解析し、コラーゲン取り込みに関与する因子を同定する。その因子を対象として、上皮間質移行による形態の変化が膵癌細胞の細胞内基質分解機構に与える影響について検討する。 また、膵癌細胞株のオートファジー活性の多様性と、上皮間質移行の発現マーカーであるE-cadherinやVimentinの発現との相関関係を調べることで、オートファジーと上皮間質移行の相関関係を解析する。さらに、オートファジー抑制剤である3-MAの投与およびオートファジー誘導遺伝子であるAtg5、Atg7のノックダウンが、膵癌細胞のコラーゲンの取り込みと膵癌細胞の浸潤、転移へ与える影響について検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画がおおむね順調に進んでおり、資金を効率的に使用できたため。 試薬類30万円、抗体10万円、リボ核酸干渉・遺伝子強制発現80万円、実験用マウス60万円、実験用ガラス器具25万円 研究成果発表費10万円、論文投稿料10万円
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