研究課題
L-OHPを含む治療を受けた症例に対するIRISの有効性を示す分子生物学的なメカニズムを解明することを目的として、熊本大学で切除された大腸癌肝転移症例を用いて、肝切除前に治療がない症例およびL-OHPを含む治療が施行された症例におけるmolecular profileを網羅的に比較・解析した。前年度までに、抗癌剤感受性関連遺伝子、癌関連遺伝子(ERCC1、DPD)のmRNA発現量の評価、タンパクレベルでの発現量の評価、ゲノム全体のメチル化レベルのsurrogate markerとしてLINE-1メチル化レベルの測定に関するプロトコールを確立することができていたため、今年度は大量サンプルでの測定を行った。50例を超える症例で検討を行ったところ、切除前にL-OHP を含む化学療法を受けた群では、化学療法なし群に比べて、有意にERCC1、DPDの発現レベルがmRNAレベルでもタンパクレベルでも高値であった。また、ERCC1とDPDの発現は互いに相関していた。これらの結果をBritish journal of cancerに報告した。次に、全国から同様の大腸癌症例を300例以上集積して検討を行ったところ、同様の結果が得られた。L-OHPを含む治療を受けた症例に対するIRISの有効性を示す分子生物学的なメカニズムの解明は、本治療における対象患者選別のマーカーの同定に繋がることが期待され、その分子異常自体が分子標的治療のターゲットになることも考えられる。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)
Int J Cancer
巻: 135 ページ: 2528-36
10.1002/ijc.28672
Ann Surg Oncol
巻: 21 ページ: 405-13
10.1245/s10434-014-3577-x
Expert Opin Pharmacother
巻: 15 ページ: 1761-70
10.1517/14656566.2014.937706
Surg Today
巻: 44 ページ: 1807-16
10.1007/s00595-013-0763-6