研究課題/領域番号 |
25670589
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
池田 一雄 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80275247)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 肝細胞 / 肝星細胞 / iPS細胞 |
研究実績の概要 |
本研究において、ラット肝臓、マウス肝臓を界面活性剤(0.5%SDS)を含む溶液で穏やかに還流し、細胞成分を完全に除去し、肝臓の微細形態を保持した「肝臓基質」を作製し、この肝臓基質にiPS細胞由来ヒト肝細胞を還流によって移植し、生着させ肝臓基質を再細胞化を目標に、以下の2点について検討した。 1)「肝細胞基質」作製;ラット肝臓、マウス肝臓を用い、ex-vivo閉鎖系(体外循環系)で培養可能となるように動物の門脈と胸部下大静脈にカニュレーションを行い、0.5%SDSを含む溶液で穏やかに還流し、細胞成分を完全に除去し、肝臓裏面の腹部下大静脈を閉鎖した。これによってex-vivo閉鎖系の肝臓基質を作製し、再細胞化には、HepG2とLX2をもちいた。ALBとCYP3の発現から、上皮系細胞単独より間葉系細胞との共培養で良い結果が得られた。 2)iPS細胞から肝細胞への分化誘導の効率化;ヒトiPS細胞を、ActivinA 100 ng/ml添加したRPMI Medium1690+B27 supplement中で、37℃、5%CO2条件下で5日間培養した。次に、20ng/ml BMP4と10ng/ml FGF2を添加したRPMI Medium1690+B27 supplementで37℃、5%CO2、4%O2条件下で5日間培養し、増殖因子を20ng/ml HGFに変更し、引き続き低酸素条件下で5日間培養した。その後、20ng/ml OSMとHCM SingleQuotsを添加したHepatocyte Basal Mediumで37℃、5%CO2条件下で5日間培養することにより、肝細胞へと分化誘導させた。さらに、ウイルスベクターによる遺伝子導入、フィーダー細胞として肝星細胞を利用やGHをもちいることでALBの発現増加、未熟なhepatocyteで見られるCYP3A7の発現を抑えることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で記載したとおり、ラット肝臓、マウス肝臓を用い、ex-vivo閉鎖系(体外循環系)で培養可能となるように動物の門脈と胸部下大静脈にカニュレーションを行い、0.5%SDSを含む溶液で穏やかに還流し、細胞成分を完全に除去し、肝臓裏面の腹部下大静脈を閉鎖した。これによってex-vivo閉鎖系の肝臓基質を作製し、再細胞化には、HepG2とLX2をもちいた。ALBとCYP3の発現から、上皮系細胞単独より間葉系細胞との共培養で良い結果が得られた。 また、iPS細胞の肝細胞への分化誘導もわずかであるがその効率を上げることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
肝臓基質へのヒト細胞注入に関しては、iPS細胞由来肝細胞をもちいた実験と、HEPG2, LX2ヒト細胞株をもちいた実験とを同時に進めることとする。
|