研究課題/領域番号 |
25670597
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
古川 浩二郎 佐賀大学, 医学部, 准教授 (90264176)
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研究分担者 |
伊藤 学 佐賀大学, 医学部, 助教 (50555084)
森田 茂樹 佐賀大学, 医学部, 教授 (70243938)
野口 亮 佐賀大学, 医学部, 助教 (70530187)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 再生医療 / 心臓血管外科学 / 組織工学 / 弁膜症 |
研究概要 |
近年のiPS 細胞をはじめとした幹細胞研究や組織工学技術がめざましく発展し臨床応用へむけた研究開発が加速する中で、我々は自己の細胞のみで任意の形状の立体細胞構造体を構築する組織工学の新技術を開発してきた。本研究目的は、新規組織工学技術および幹細胞研究を心臓血管外科領域の手術に応用し、足場(scaffold)となるコラーゲンや生体溶解性素材すらも、含まない自己細胞のみで構成した組織による次世代型心臓血管外科治療方法の開発を目指す。期待される成果として、抗免疫性、抗感染等、従来の組織工学では 未解決の問題をクリアーする心臓血管臓器再生技術の開発となると考えられる。平成25 年 細胞ソースの検討:1. 細胞の培養条件の検討と組織構築に必要な適正スフェロイドの細胞選択、混合比率の決定。現在研究室ではヒト血管内皮、線維芽細胞、平滑筋細胞、ラット胎児初代心筋細胞、マウスES 細胞由来心筋細胞などを大量培養しており培養条件はある程度確立している。2. 適切なスフェロイドサイズ配合の決定:3 次元培養は単一細胞のみの培養より複数の細胞を組み合わせたほうがより、タンパクの産生が向上することが知られているため細胞の混合比率や混合する細胞の種類を検討し、スフェロイド標本の免疫染色やウェスタンプロッティングなどでタンパク発現の解析を行い最もよい条件のスフェロイドを使用する。(例:血管内皮細胞:血管平滑筋細胞:線維芽細胞=1:3:4 に配合、総細胞数は3X105 など。)3.最適化した3 次元パッチモデルの検討:3 次元組織構築システムは現在九大で管理して共同使用してるが、将来的には本研究費と別予算で佐賀大学医学部に導入を検討している。本研究では低圧系の右心系への移植をまず考えているため厚みや強度などを検討してデザインを考える。現段階では大きさは1cm 四方で、厚みは2mm 程度と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、細胞のみを用いて、細胞が元来有する自己凝集現象であるスフェロイド形成、およびスフェロイドが生理学的・生物学的な活性・機能を維持させたまま融合しより3次元化した立体組織構造体を構築する過程を組織工学を用いてコントロールし、心臓・血管外科手術治療に応用できる手法を開発することにある。 本年度は細胞のみで、弁膜症治療や、血管の修復に応用出来る強度のあるパッチ状組織構造体を作成すべく、3次元培養システムの開発を行った。3次元培養システムの構築に時間がかかったが、新規性のあるシステムの構築に成功した。組織学的な評価やタンパク解析が計画より遅れているが、合算すると順調に経過していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果により、予定通り大きさ1cm前後、厚さ1mm程度の細胞のみで構築されたパッチ構造体が作成できた。刺激を与えて、形状を維持したまま培養出来るシステムを開発したため今後は、機能解析、強度解析を行いより最適化した、動物への移植可能な構造体を構築したい。 動物実験は当初犬を予定していたが、より安価で、ヒト細胞組織も移植可能な、ヌードラットの右心房の心房壁を本構造体で置換してデータを重ね、すこしずつ大動物へ移行していく方針としたい。 機能解析もしくは、動物実験(ラット)完了後に論文化をよていしている。 また、3次元培養システムは、5月中に佐賀大学法人で特許出願することが委員会で承認されている。
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