研究課題
挑戦的萌芽研究
ヒト心臓組織由来細胞および皮膚由来線維芽細胞を用いて、種々の遺伝子を導入することによる心筋幹細胞の作製を試み、以下の結果を得られました。1)二つの遺伝子を組み合わせて、上記の細胞へ導入し、遺伝子導入後7,14日目にはGata4、Tbx5、c-kit、Islet-1など心筋幹細胞関連遺伝子の発現を認められた。一方、Oct3/4、Nanog、Sox2、SSEA-4など多能性幹細胞関連因子の発現がほとんど観察されなかった。特定の遺伝子導入により、ヒト心臓組織由来細胞および皮膚由来線維芽細胞から心筋幹細胞への誘導が示唆された。2)上記1)で二つの遺伝子を導入後4週目の細胞を用いて、それぞれ心筋、内皮、平滑筋細胞への分化誘導を行いました。二つの特定遺伝子を導入した心臓組織由来の細胞からは効率よく心筋細胞(Troponin-I陽性)へ分化したが、同じ遺伝子導入した皮膚由来細胞では心筋細胞への分化効率が明らかに低かった。また、遺伝子を導入した心臓組織由来の細胞からは約10%の効率で内皮細胞(VE-cadherin陽性)や平滑筋細胞(α-SMA陽性)への分化は認められたが、同じ遺伝子導入した皮膚由来細胞では内皮細胞や平滑筋細胞への分化効率が極めて低かった(<2%)。一方、二つの特定遺伝子を導入された細胞から、脂肪、軟骨、神経などへの分化はほとんど観察されなかった。これらの結果から部分的な初期化により心筋幹細胞の作製が可能と思われた。
2: おおむね順調に進展している
実験が順調に進んでおり、すでに一定の成果が得られていた。
当初申請の通りに研究を推進していく予定です。具体的には遺伝子導入により作製した心筋幹細胞の特性をさらなる検証し、その心筋再生の効果と安全性を調べる。
同研究テーマが同時に公益財団法人からの補助金が得られたためである。科研費からのの支援は実際の研究随行に必要な費用よりも少額であるが実情である。平成25年度からの残金はちょうど平成26年度に計画している研究に必要な費用の不足分に賄う予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
JACC Heart Fail.
巻: 2 ページ: 49-61
J Cell Physiol.
巻: 228 ページ: 2159-2166
10.1002/jcp.24389.