研究課題
我々が提唱する「生体内組織形成術」を用いると自家組織のみからなる血管(Biotube)や心臓弁(Biovelve)が体内で作製可能で、犬肺動脈弁位への移植に成功するなど、動物実験で有用性を報告してきた。またBiovalveとステントを体内でステントバルブへの一体形成も可能で、ヤギへの経カテーテル的大動脈弁置換実験を進めている。一方、僧帽弁に対しては位置や形状の特殊性から従来品の流用は困難で、特化した設計が必要となる。そこで本研究では、完全自己組織からなる僧帽弁用ステントバイオバルブの開発にチャレンジした。バルブ作製用鋳型試作、バルブ作製、生体外機能評価、犬における移植実験を繰り返して鋳型の完成度を高め、1ヶ月の生体内での機能維持を目標とし、本研究を開始した。まずはステントバイオバルブの作製とそのin vitro機能評価、ビーグル犬での僧帽弁置換術を行うことを計画した。皮下に埋入する基材の形状を工夫することで効率よくステントバイオバルブを作製することが可能となった。また、作製されたステントバイオバルブは大動脈弁条件に設定したin vitro機能評価実験において、逆流率4%,開口率89%と良好な弁機能を示した。In vitro機能評価の結果をもとにビーグル犬への経カテーテル的移植を実施した。左心房に巾着縫合を施した後に左心房切開し、カテーテルを挿入、透視下にて確認しながら僧帽弁位へステントバイオバルブを挿入した。最終年度に作製した連結型ステントバイオバルブは僧帽弁位へ移植可能であり、1ヶ月以上にわたり留置されていた。摘出したステントバイオバルブは表面は平滑で血栓の付着も認められず、組織学的にも完全に内皮化されていた。
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http://ibta.jp