研究課題/領域番号 |
25670605
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
南谷 佳弘 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30239321)
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研究分担者 |
赤上 陽一 秋田県産業技術センター, 素形材プロセス開発部, 主任研究員 (00373217)
南條 博 秋田大学, 医学部, 准教授 (70250892)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 免疫組織染色 / 肺癌 / 自動病理診断 |
研究概要 |
最近肺癌手術件数が増加している.早期に発見される機会が増加して術前に肺癌の診断がつかない症例も増加している.また区域切除など進行度に応じた個別化治療が普及してきており,リンパ節転移を含めた術中病期診断は重要である.そのため肺癌手術には術中迅速病理診断が必須で,その件数は増加してきている.一方,病理医不足は深刻で増える目途は立っていない.そのため術中迅速病理診断を多用する肺癌手術は危機的状況である.本研究の最終目標は病理医不在でも結果が出る迅速病理検査の確立である.今回申請した研究期間で我々の開発した迅速免疫染色装置を用いて術中に免疫染色し,結果を解析して肺癌の診断が出来るか,またHE染色を用いた病理専門医による術中迅速病理診断と同等の結果が得られるかを検討することを目的に本研究を提案した.本年度は保存してある肺腫瘍組織を用いて多数の抗体により免疫組織染色を行う.病理専門医がHE染色を用いて診断した結果を基準にして,免疫組織染色を用いた細胞機能的癌診断法を確立することを計画した.しかし将来の自動化を見据えた場合に免疫組織染色で陽性・陰性であることを客観的に評価するための指標が必要と判断した.陽性コントロールには2種類ある.一つは染まるべきものが正しく染まっているかをみる形態コントロールで,もう一つは染色濃度を見る濃度コントロールである.この検討では培養癌細胞を用いて形態コントロールを作成して検討した.また濃度コントロールを高分子ゲル・反応性ミクロハイドロゲルにより作成した.培養癌細胞として肺癌細胞と悪性リンパ腫を用いた.免疫染色は最も使用頻度が高い抗サイトケラチン抗体、抗Ki67抗体を用いた.種々の条件で検討し,最終的には培養細胞による陽性コントロールの作成方法を決定した.濃度コントロールは反応性ミクロハイドロゲルに目的のタンパク質を含有させて作成し良好な結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は保存してある肺腫瘍組織を用いて多数の抗体により免疫組織染色を行い,病理専門医がHE染色を用いて診断した結果を基準にして,免疫組織染色を用いた細胞機能的癌診断法を確立することを計画した.しかし免疫組織染色の判定は病理医でさえ主観的で曖昧であった.将来の自動化を見据えた場合に陽性・陰性であることを客観的に評価するための指標が必要と判断した.そのため本年度は陽性・陰性コントロールを作成することに専念した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は作製した陽性・陰性コントロールを用いて免疫組織染色の染色程度を客観的に評価する.そして保存してある肺腫瘍組織を用いて多数の抗体により免疫組織染色を行い,病理専門医がHE染色を用いて診断した結果を客観的評価基準にあわせて免疫組織染色を用いた細胞機能的癌診断法を確立したい.
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次年度の研究費の使用計画 |
今回は免疫組織染色の陽性・陰性コントロールの作成に専念したので本年度に予定していた大量の免疫組織染色を行わなかった.そのため免疫組織染色で支出予定の消耗品費が予定より少なかった.次年度に本年度行えなかった免疫組織染色を行うため,次年度使用額が増えた. 次年度(平成26年度)は平成25年度に計画していた「保存してある肺腫瘍組織の免疫組織染色」と平成26年度に計画していた「手術で得られた肺腫瘍組織を我々が開発した迅速免疫染色装置を用いて免疫染色をして診断する方法に関する実験」を続けて行うため,当初の計画より免疫組織染色を大量に行う必要がある.そのため,免疫組織染色の消耗品費を次年度使用額と平成26年度支出予定額を合わせて支出する予定である.
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