研究課題
昨年度、免疫の共刺激因子OX40が脳腫瘍に対する皮下ワクチンの抗腫瘍効果を増強すること、さらに同様な共刺激因子CD40との併用により相乗的効果が得られることを確認した。ただ、実際にはCD40の効果がOX40のそれを凌駕する結果となった。そこで、本年度はまず、OX40, CD40が実際の脳腫瘍症例の生存にどのように関与しているかを検討した。東北大学脳神経外科で治療したGrade 4 glioma 110例, Grade 3 glioma 34例を対象に各分子の発現と生存の関連を検討した。結果、OX40シグナルは腫瘍全摘出が得られたGrade 4症例において発現が高いほど良好なprogression free survival(PFS)を示すがoverall survival(OS)には変化がないことが判明した。一方で、CD40シグナルはその高発現がPFS, OSともに延長させることを見いだした。このことから、CD40に着目した治療法開発に転換することとして、CD40ワクチンが脳腫瘍モデルのみでなく、脳腫瘍幹細胞モデルにも強い効果を示すことを確認した。さらにCD40とOX40の併用は脾臓での胚中心形成を促進し、リンパ球のインターフェロンガンマ産生を著明に促進することを示した。本年度はOX40シグナリングに関する部分を論文化し、掲載された。引き続き、CD40シグナリングに関して論文を作製、英文誌投稿中である。本年度は当初、OX40刺激後のリンパ球の低酸素応答性に注目してリンパ球の抗腫瘍効果増強を試みる研究を予定していたが、昨年度にCD40がより強力な免疫誘導を示すことが判明したため、そちらの研究開発を優先した。
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Mol Cancer
巻: in press ページ: in press
Brain Tumor Pathol
Neuro Oncol
巻: 17 ページ: 555-565
10.1093/neuonc/nou282