研究課題/領域番号 |
25670614
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中里 信和 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80207753)
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研究分担者 |
岩崎 真樹 東北大学, 大学病院, 助教 (00420018)
神 一敬 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20436091)
菅野 彰剛 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (20578968)
柿坂 庸介 東北大学, 大学病院, 助教 (90400324)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳磁図 / 脳溝底部 / 皮質形成異常 |
研究概要 |
脳磁図は脳の神経細胞が活動する際に発生する磁場である。従来の脳磁図計測は超伝導量子干渉計にて行われるが、液体ヘリウム容器にセンサを格納する必要があるためセンサ配置が固定され、小児の被験者ではセンサと測定対象との距離が離れるという欠点があった。また小児では被験者の体動で測定そのものが困難になる場合が少なくなかった。 我々は現在、トンネル磁気抵抗素子(TMRセンサ)と呼ばれる常温稼動の高感度磁気センサを開発中である。実用化されると頭部に密着させて、被験者の頭部を固定せずに脳磁図が測定できる。本研究では、工学グループによるTMR脳磁計の完成の前に、測定対象となる正常な脳機能と、てんかんに起因する異常な脳活動を従来型の脳磁計において測定し、その振幅や周波数分布、信号源推定位置などの特徴を抽出することを目的とした。これは将来、本格的なTMR脳磁計を設計するための基礎データとするためである。 まず最初に、大脳の脳溝深くに存在する微小な皮質形成異常を伴う難治性てんかん症例において脳波と脳磁図による棘波の信号源推定を行った。異常活動の検出と信号源推定により、従来の脳MRIでは正常と判断されていた感覚運動症状の発作をもつ患者で、微小な皮質形成異常の存在を予測することが可能であった。 さらに、正常脳機能の代表として聴覚誘発脳磁図を計測し、難聴を訴える患者において聴覚誘発反応が検出しえなかった症例においても、脳磁図が大脳皮質聴覚野から信号を検出できることを示した。 また施設外の研究者とも共同で、現在の脳磁図臨床応用の実態についても調査報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TMR脳磁計の完成の前に、測定対象となる正常な脳機能と、てんかんに起因する異常な脳活動を従来型の脳磁計において測定し、その振幅や周波数分布、信号源推定位置などの特徴を抽出する、という目的はほぼ達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、TMRセンサの開発は心臓活動を測定できるレベルに達しつつある。1年間で感度が二桁上昇していることから、数年以内に新型脳磁計の作成にとりかかれるもの見込まれる。本研究により得られた知見をもとに、新型脳磁計の設計に取り組む予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初購入予定の物品費であるが、データ保存媒体が研究計画時点よりも少なくて済んだため、予算以下の金額で年度の研究を終了している。 次年度には、データ保存媒体を余分に必要になると思われるため、残額は次年度分と合わせてその目的に使用する計画である。
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