本研究は、水頭症の発症原因にReceptor for advanced glycation end products(以下RAGE)が関与するか否かを探求することを目的とした。 内因性分泌型RAGE (以下esRAGE)遺伝子導入マウスにおいて、脳室拡大を呈する個体の浸透率、およびesRAGE発現レベルと水頭症発生の相関について正の相関が得られ、論文を作成中である。続いて、ヒト高齢者に発生する特発性正常圧水頭症(以下INPH)でも同様の機序発生を検討した。ELIZA法をはじめとして、いくつかの方法でesRAGEの発現を検討したが、いずれも測定感度以下の発現しか得られず相関の有無についてのデータは得られず、断念した。続いて、ヒトでの長期に渡る水頭症患者において、脳実質破壊の度合いが脳室の形状に相関があることが示唆され、このこととRAGEとの間に相関があるかを検討した。血液から得られたRAGE/esRAGE発現と脳室形状には相関は得られなかった。しかしながら、白質変化との相関があることが示唆されており、アルツハイマー病における新たな診断マーカーとなる可能性が示された。本研究とともに、ヒトにおける脳室拡大の継時的変化に関する研究長期にわたる水頭症患者における髄液吸収能の保持に関する論文さらに脳室拡大と脳室形状に関する国際学会発表を行った。
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