研究課題/領域番号 |
25670630
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 栄 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (50282661)
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研究分担者 |
岡 敬之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60401064)
門野 夕峰 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70401065)
安井 哲郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30583108)
大橋 暁 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), その他部局等, その他 (20466767) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 整形外科学 / リウマチ学 / 医用画像評価 / 医用情報工学 |
研究実績の概要 |
関節リウマチ(RA)の構造学的評価には、手および足の関節のX 線画像にて、びらん(erosion)と関節裂隙狭小化のカテゴリカルな得点の総和を求めるmodified Total Sharp Score (mTSS)が利用されるが、同評価法はCeiling Effect、評価者内・評価者間のばらつきから点数が一定とならない、などの問題点を持つと共に、煩雑で日常診療で利用することが難しかった。本研究においては、erosion とJSN の評価を全自動化することで、日常診療に利用可能な簡易なRA 患者の構造学的評価システムを開発を行う。 昨年度には、複数のデジタルフィルタと統計学的なアルゴリズムにより、関節裂隙の最小距離と面積、骨軸のなす角度、Erosion の範囲は面積で各関節部位別に定量評価を行う「RA 患者における手および足X 線画像全自動評価システム」の開発を進めた。 今年度は1,535例の一般住民の両手X線画像データベースを用いてRAの専門医による読影とソフトウエアによる検出を比較して検討を行った。1,535例の両手X線画像とリンクした臨床情報より、データベース内でRAの治療歴を有していたのは9例であった。この全てにおいて、いずれかの手指にRA専門医の判定するErosionを認めた。1,535例全画像でのRA専門医の読影結果は、左右PIP関節とも1.0-3.0%(14-46指)にErosionを認め、MCP関節やその他の関節には明らかなErosionを認めなかった。これに対しソフトウエアでは、左右PIP関節とも3.1-6.6%(49-101指)にErosionの判定で、MCP関節やその他の関節には明らかなErosionを検出しなかった。RA専門医の判定するErosionはソフトウエアで全て検出しており、3%程度が偽陽性と判定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1,535例の両手X線画像データベースを用いてRAの専門医による読影とソフトウエアによる検出を比較して検討を行い、ソフトウエアの良好な精度を確認し、臨床使用に耐えうる手X線画像評価用ソフトウエアが完成したため。 また同ソフトウエアのクラウド化も進行しており、今後の臨床利用に向けてシステム調整中である。本システムで利用するX線画像は容量が10MBであるが、3MBまで可逆に圧縮できることを確認しているので、通常の通信環境で問題なく運用することが出来る。次年度以降で、関節破壊が進行するRA患者の危険因子同定におけるX線学的検討での使用を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
既に試験が終了したRA の治療効果を判定するRCTの評価に本システムを導入し、有用性に関する検証を行う。 具体的なRCTは、MTX を8 ㎎の容量で使用してもDAS28 が中等度(3.2)以上のRA 患者に対して、MTX の増量か生物製剤への切り替え(各25 例、計50 例)を行い、ベースラインと1 年後の臨床情報(Rheumatoidfactor、MMP3、CRP、DAS28、ESR、HAQ、ACR/EULAR 改善率)と「RA 患者における手および足X 線画像全自動評価システム」を適用した画像評価定量評価値、同システムによる自動判定したmTTS、医師が従来の方法で判定したmTTS をアウトカムとした評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
X線画像データベースを用いてRAの専門医による読影とソフトウエアによる検出を比較して検討を行う作業が、スムーズに進行し、良好な結果が得られた。この結果予定より早く臨床使用に耐えうる手X線画像評価用ソフトウエアが完成したため。
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次年度使用額の使用計画 |
RA の治療効果を判定するのに必要となるバイオマーカーや画像の計測に関する諸経費など
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