研究課題/領域番号 |
25670635
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大島 寧 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50570016)
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研究分担者 |
田中 健之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00583121)
上原 浩介 東京大学, 医学部附属病院, その他 (20599063)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 骨代謝学 |
研究概要 |
マウスの骨髄細胞を M-CSF/RANKL 系で培養し、各分化段階の Mcl-1 mRNA 量の定量を行った。破骨細胞における Mcl-1 mRNA の発現は分化初期から大量ではないが存在し、各分化過程においても一定量を保っていることが明らかとなった。破骨細胞内の Mcl-1 代謝に関して、時間毎の蛋白を回収し Western blotting にて発現量を評価した。Mcl-1 は同じ anti-apoptotic Bcl-2 ファミリーの Bcl-XL より早い蛋白代謝を受けていたが、生存シグナルの除去によりその代謝速度の差はさらに顕著となった。新たに合成される Mcl-1 の影響を取り除くため、RNA 合成阻害剤であるアクチノマイシンDを添加して同様に実験を行ったところ Mcl-1 は 90 分後には元の半分以下にまで蛋白発現が低下しており、破骨細胞における Mcl-1 の蛋白半減期は 90 分未満ときわめて速い代謝を受けていることが明らかとなった。 Mcl-1 の代謝に関してはプロテアソーム系、カスバーゼによる断片化などが報告されているが、破骨細胞においてどの代謝機構が主に働いているかは未知であった。プロテアソーム阻害剤 MG132 を用いた実験を行ったところ、プロテアソーム阻害剤の添加により Mcl-1 の代謝が大きく阻害され、Mcl-1 の蛋白代謝にプロテアソーム系が関与していることが確認された。また、MG132 を添加した破骨細胞の蛋白で免疫沈降を行ったところ 、Mcl-1 がユビキチン化を受けた際にはバンドがみられ、このことより破骨細胞における 早いMcl-1 蛋白代謝には Bim と同様にユビキチン・プロテアソーム系が関与していることが明らかとなった。 破骨細胞特異的にMcl-1をノックアウトしたマウスを作出した。次年度以降に骨形態計測などを用いて評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスのin vitroでの実験が順調に進んでおり、引き続きvitroの解析とMcl-1 floxマウスを用いた解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
Mcl-1 floxマウスから採取した骨髄細胞にレトロウイルスあるいはアデノウイルスを介して Cre 遺伝子の導入を行い、Cre-loxP システムを発動させ Mcl-1 ノックアウト破骨細胞を作製、この細胞においての細胞分化・細胞生存能・骨吸収能について検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
概ね研究が順調に進み、次年度計画のための資金とした。 マウスを用いたMcl-1発現に関するin vitroの解析とMcl-1 creマウスの解析を行う。 マウスの維持管理のための費用や各種抗体、試薬準備費用を要する。
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