研究課題
近年の遺伝子工学的手法の発展により、ほとんどの臓器が、従来から知られていたよりも多くの機能を有していること、とりわけ、臓器同士は互いに協調し合い、生体の恒常性を維持していることが明らかとなった。このことは、臓器志向型の研究が一定の成果をあげた一方、単一臓器に注目した研究手法の限界を反映するものであり、多細胞生物である生体を全体として理解し、臓器間ネットワークに着目した研究を推進することにより、未知の高次調節機能を見出す可能性を強く示唆している。骨代謝領域においても例外ではなく、これまでに、骨が他の臓器とネットワークを形成し、互いに協調的に代謝を調節し合っていることや、骨外臓器の代謝を積極的に調節していることを報告されている。生体の恒常性維持の観点から考えられると、骨から中枢神経系へのフィードバック機構が存在することは想像に難くないが、その本態に関しては未だ不明である。そこで本研究では、骨から脳へのフィードバック機構の解明を目指して研究を進行する。本年度は、破骨細胞特異的遺伝子欠損マウス由来の破骨細胞からRNAを抽出し、網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、標的遺伝子を統計学的解析により数種類同定した。コンディショナルKOマウス由来の破骨細胞において、これら候補遺伝子の発現をReal-timePCRを用いて解析し、発現が変動している遺伝子を標的遺伝子とした。加えてこれらの標的遺伝子を発現するベクターをクローニングし、破骨細胞における機能解析を実施した。一方、Cathepsin K Creマウスを用いた破骨細胞特異的遺伝子欠損マウスで認められた表現型が破骨細胞に由来するかを確認するために、他のCreマウス系統を用いて破骨細胞特異的遺伝子欠損マウスを作製し、骨の表現型ならびに体重に及ぼす影響を検討した。現在一連の研究成果を論文投稿するために準備中である。
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