研究課題/領域番号 |
25670641
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
加藤 博之 信州大学, 医学部, 教授 (40204490)
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研究分担者 |
内山 茂晴 信州大学, 医学部, 准教授 (10242679)
山田 充彦 信州大学, 医学部, 教授 (10263237)
樋口 京一 信州大学, 医学系研究科, 教授 (20173156)
中田 勉 信州大学, 医学部, 講師 (70452141)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨格筋 / サルコペニア / L型カルシウムチャネル / 加齢 |
研究概要 |
本研究では筋のL型Ca2+チャネルの異常とサルコペニアの発症機序の関係について検討を行っている。心筋型のL型Ca2+チャネルにおいては,翻訳後修飾によりC末端が切断されることが活性の調整に重要な役割を果たすことが知られている。同様の分解が骨格筋型のL型Ca2+チャネルでも起こることから,特にこの修飾とサルコペニアの関係に注目して解析を進めている。 はじめに骨格筋L型カルシウムチャネルの主サブユニットであるCaV1.1のC末端の有無が,カルシウム電流にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った。CaV1.1もしくはC末端を欠いたCaV1.1Δ1664を,b1サブユニット,a2dサブユニットと同時にtsA201細胞に発現させた。しかし,C末端の有無に関わらず電流が非常に弱く,安定した測定は不可能であった。L型Ca2+チャネル欠損骨格筋細胞株であるGLT細胞でも同様の実験を行ったが,こちらでも電流の検出が困難であった。これらのことから,in vitroにおける解析には新たな方法を探索することが必要であることがわかった。 次に,早老症マウスとして知られるSAMP1マウスの筋力低下について検討を行った。はじめに4ヶ月齢(若齢)と13-14ヶ月齢(老齢)のSAMP1マウスからヒラメ筋,短趾屈筋を単離し,電気刺激に伴う張力を測定した。しかしこの方法ではデータのバラツキが大きく,加齢による変化は検出できなかった。そこで,筋束を単離せずin vivoで張力測定を行う方法を試みた。その結果,テタヌス刺激による張力が,老齢マウスで有意に低下していることが明らかになった。 また,単離筋線維を用いたCaイメージングや,リアルタイムPCRによる遺伝子の発現定量についても条件検討を進めており,今後若齢と老齢のマウスでの検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験計画として予定していた異所性発現系における骨格筋L型Ca2+チャネルの解析については,電流量が非常に小さく,安定してデータを収集することができなかった。一方,次年度以降の計画であったSAMP1を用いたin vivoの実験については,既に筋力測定系が確立しつつあり,今後,より詳細な検討を行うことが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
骨格筋L型Ca2+チャネルについては,in vitroでの測定系の確立を目指す。また,単離短趾屈筋細胞におけるL型Ca2+チャネルを,パッチクランプ法によって測定する手技が数例報告されている。強制発現系の確立が困難である可能性を考え,単離短趾屈筋細胞における測定系を利用することも視野に入れ検討を進めて行く。 SAMP1マウスを用いた検討では,加齢による筋力低下とL型Ca2+チャネルの関係を明らかにするために,関係する分子のリアルタイムPCR,ウェスタンブロッティングを行う。また,単離短趾屈筋細胞を用いたCaイメージングを行い,興奮収縮連関の加齢による変化を定量的に解析する。
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