実験的関節炎モデルでのC1qペプチドの作用機序の検討:C1qペプチドが示す関節炎モデルでの有効性に基づき、本ペプチドが関節リウマチの病態の特徴である罹患関節局所での炎症性サイトカインに対して与える影響について検討した。コラーゲン関節炎を惹起させたラットから試験終了時に足関節部位を採取し、罹患関節局所における画像評価、組織学的評価を行い、炎症サイトカインの遺伝子レベルでの発現についても検討を行った。その結果、罹患足関節局所でのIL-1 betaについてはC1qペプチドによる明らかな抑制効果は認められなかったが、TNF alphaの発現は有意に抑制されていた。同関節炎モデルの罹患関節局所から大腿骨骨髄細胞を採取し、M-CSF、RANKLで誘導を行い、破骨細胞の誘導阻害能につきTRAP染色を用い検討した。その結果、6残基ペプチド投与個体からの破骨細胞誘導は未治療個体に比べて有意にTRAP positive細胞数および多核化が抑制されていた。 ヒトRA滑膜細胞を用いたサイトカインの産生抑制に関する検討:リウマチ患者から採取した滑膜細胞を用いた検討を大阪大学にて行った。その結果、ヒト関節リウマチ患者から採取した滑膜細胞をTNF-αで刺激することにより分泌が促進されるサイトカインやマトリックスメタロプロテアーゼなどの産生が、C1qペプチドの添加により有意に抑制された。 ヒトRA滑膜細胞とB細胞の共培養におけるIgGの産生抑制に関する検討:上記検討と同様の条件で、滑膜細胞をB細胞と共培養することにより、滑膜細胞からのIgG産生に対するペプチドの抑制効果についても大阪大学にて検討を行った結果、活性細胞から産生されるIgGに対しても抑制効果が見られた。このことから、本ペプチドは滑膜細胞だけではなく、B細胞の活性化を阻害する働きがあることが明らかとなり、B細胞系にも作用する能力を有する可能性が示唆された。
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