研究概要 |
悪性腫瘍細胞検出マーカーとして, hTERTプロモーターを有し, GFP遺伝子が組み込まれた遺伝子改変アデノウイルス(テロメスキャン;OBP-401)を用いて血中循環腫瘍細胞(CTCs: Circulating Tumor Cells)の検出を行った. 解析はオンコリスバイオファーマ社に依頼している。骨軟部肉腫患者22例(骨肉腫6例, 滑膜肉腫2例, 隆起性皮膚線維肉腫3例, 粘液線維肉腫4例, 高分化型脂肪肉腫2例, 粘液型脂肪肉腫1例, 混合型脂肪肉腫1例, 平滑筋肉腫1例, 横紋筋肉腫1例, 悪性抹消神経鞘腫1例)の血液を用いて解析を行った.患者から採取した血液10mlにテロメスキャンを感染させ, GFP蛍光発色が得られた細胞を更にCD45, Vimentin, DAPIで免疫染色を行い, 偽陽性細胞を排除した. 22例中11例(50%)でCTCが検出され, 骨肉腫3例, 隆起性皮膚線維肉腫2例,粘液線維肉腫3例, 平滑筋肉腫1例, 悪性抹消神経鞘腫1例であった. GFP陽性となった細胞は13273個あり、そのうちCTCとされた細胞は51個で、偽陽性率は99.62%であった。骨盤骨肉腫広範切除後, 術後化学療法行った1例ではCTCが5個検出されていたが, 4ヵ月後仙骨部に再発を生じた. しかしながら現時点で肺転移や再発率など予後との明らかな相関関係は認めていない.
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