H25年度の研究においてOBP-401で問題となった血球系の細胞による偽陽性といった問題をクリアするためにOBP-401にmiRNAを搭載し血球系の細胞による偽陽性を排除可能としたOBP-1101を使用してCTCの検出を行った。悪性骨軟部腫瘍33例(MFH10例、骨肉腫4例、粘液型脂肪肉腫4例、滑膜肉腫2例、平滑筋肉腫2例、骨巨細胞種2例、線維肉腫2例、高分化型脂肪肉腫2例、骨外性骨肉腫1例、軟骨肉腫1例、その他3例)の血液を用いてCTCを確認したところ2例(MFH1例、滑膜肉腫1例)、6%にCTCを検出した。検出されたCTC数はそれぞれ1個であった。また健常者ボランティア血液中に骨軟部肉腫cell line5種類(SK-ES-1、SYO-1、143B、NMFH、EPS)を混入させ、CTCモデル血液を作成、OBP-401とOBP-1101による検出率に差があるかをGFP陽性細胞数、ウイルスの感染経路であるCAR発現、hTERT活性を含めて検討を行った。GFP陽性細胞数はOBP-401で平均10050個、OBP-1101で1124個であり、CTCとカウントされた細胞はそれぞれ平均5.6個、平均6.8個であった。CAR発現、hTERT活性の見られなかったEPSのCTC数はOBP-401、OBP-1101ともに0個であり、CARおよびhTERTの活性のない細胞に対しては検出することができなかった。 患者予後との比較において血液採取時に転移のある症例が4例、その後肺転移を生じた症例が2例あったがいずれもCTC陰性であった。またCTC陽性であった患者2例のうち、1例は経過観察不能となったが、1例は現在も術後再発・転移なく経過良好である。 骨軟部肉腫に対するバイオマーカーとしてCTC検出はOBP-1101よりもOBP-401が優れていることが示唆された。
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