研究課題/領域番号 |
25670651
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
味八木 茂 広島大学, 大学病院, 講師 (10392490)
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研究分担者 |
加藤 義雄 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究員 (20415657)
中佐 智幸 広島大学, 大学病院, 病院助教 (60467769)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 変形性関節症 / 抗酸化 / ジンクフィンガープロテイン / HO-1 / microRNA |
研究概要 |
変形性関節症(OA)の発症には加齢、メカニカルストレス、酸化ストレスなど様々な要素が関与している。ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)等の抗酸化酵素は、活性酸素の蓄積を阻害して酸化ストレスを軽減し、細胞保護作用に働くことが知られており、これまでに様々な疾患における病態の進行に対しての治療効果が示されてきた。しかし、OAにおけるその役割は明らかになっていない。BTB and CNC homology 1(Bach1) はHO-1遺伝子の転写抑制因子であり、Bach1欠損(KO)マウスは恒常的にHO-1が高発現している。そこで25年度は、このマウスを用いて、OAの病態におけるHO-1の役割について解析した。HO-1は、野生型マウスにおいて加齢とともにその発現を減少されることが明らかになった。そして、HO-1はBach1 KOマウスの関節軟骨細胞においても有意に高発現しており、22ヶ月齢の老齢マウスにおいても、Bach1 KOマウスの関節軟骨ではHO-1の発現を維持していた。また、老齢マウスにおいて、Bach1 KOマウスは野生型に比べ体重増加が抑制されていた。膝関節組織のOA病態評価は、自然加齢マウスおよび靭帯切除によるOA誘導モデルの2つのモデルを用いて行った。加齢モデル、OAモデルともにBach1 KOマウスでは、有意に軟骨破壊・変性を抑制しており、オートファジー活性とSOD2の発現が有意に増加していた。HO-1のノックダウン実験により軟骨細胞においてHO-1はSOD2の発現を制御していた。さらに、野生型マウスにおいて炎症性サイトカインは加齢により増加していたが、Bach1 KOマウスでは抑制されていた。以上の結果より、Bach1 KOマウスでは、HO-1や SOD2の発現を維持することで抗酸化作用を維持し、OAの進行を抑制することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、次年度に向けて順調にBach1 KOマウスを用いて、抗酸化酵素である HO-1が変形性関節症の発症抑制に効果があることを明らかにした。よって次年度からさらなるメカニズムの解明とHO-1誘導法に集中して研究を実施していくことができる。
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今後の研究の推進方策 |
micrroRNAの関与などさらなるOA抑制メカニズムの解明と自然加齢モデルと靭帯切除による変形性関節症誘導モデルを用いて既存のCobalt protoporphyrin (CoPP) などのHO-1誘導剤の投与による変形性関節症の予防や抑制効果を検討する。また同時に、Bach1を標的とした Znフィンガープロテインを作成し、既存の誘導剤と比較しその効果を明らかにして行く。
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次年度の研究費の使用計画 |
3月末での出張のため旅費の事務処理が間に合わなかったため。 消耗品に使用する予定である。
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