研究課題/領域番号 |
25670655
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20178031)
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研究分担者 |
中川 周士 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30643382)
新井 祐志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50347449)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 概日リズム / 軟骨 |
研究概要 |
概日リズムとは生体が刻む約24時間周期のリズムのことである。この概日リズムは時計遺伝子から構成される体内時計によってもたらされる。体内時計は、中枢時計である視交叉上核だけでなく、ほぼ全身に存在していることが明らかにされている。近年、様々な疾患が時計遺伝子の異常と関連していることが報告され、注目を集めている。 軟骨組織において、時計遺伝子が発現していることは明らかにされていたが、体内時計の存在については明らかではなかった。そこで、まず軟骨に時計遺伝子からなる体内時計の存在について明らかにすることとした。 体内時計の分子機構を構成するPER2にホタルルシフェラーゼが融合したタンパク質を発現するノックインマウスを用いた。このマウスを用いることで、PER2発現パターンを発光量の変化として検出できる。このマウスから大腿骨を採取して培養し、経時的に発光量を測定した。また、発光イメージングシステムを用い発光部位を詳細に検討した。さらに、培養下の骨組織に対し、薬剤を投与して体内時計の時刻が変化するか検討した。 大腿骨からの発光は、約24時間周期のリズムを示した。発光は他の組織と同様に、振幅が徐々に小さくなったが、培地交換を行うことで振幅が回復した。発光イメージングシステムを用いた観察から、成長軟骨板や関節軟骨で特に強い発光を認めた。大腿骨からの発光は、デキサメタゾンやフォルスコリンによって体内時計の時刻変化を示した。これらのことから、成長軟骨や関節軟骨においては、自律的に振動する体内時計が存在することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軟骨のストレス応答機構と概日リズムとの関連についての解明には至っていないものの、軟骨における体内時計の存在を明らかにできたことから、現段階においてはおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
軟骨と体内時計との関連を検討するため、動物モデルを用いた実験を行う予定である。時計遺伝子のレポーターマウス、老齢マウスなども用いたin vivoでの実験や低酸素環境下における軟骨細胞の遺伝子解析などin vitroの実験も行う予定である。 平成25年度から、連携研究者として京都府立医科大学統合生理学 八木田和弘教授が参加している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究に必要な経費が当初の試算よりかかると判断したため、予算を次年度に一部繰り越した。 試薬等、研究に必要な物品費に充てる予定である。
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