研究課題/領域番号 |
25670658
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
片桐 岳信 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80245802)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 蛋白質 / 細胞内情報伝達 / 骨 / BMP / リン酸化 / 転写制御 |
研究概要 |
Bone morphogenetic protein(BMP)は、胎生期の骨格形成や、骨格筋で異所性骨化が起こる遺伝性難病の発症にも直接関与する重要な因子である。我々は、BMP 受容体が活性化するさまざまな細胞内情報伝達の役割を解析し、in vitroで転写因子Smad経路だけを活性化すると、BMP 刺激の場合と同様に骨芽細胞分化を誘導することを見いだした。この結果に基づき、Smadおよびそのシグナルエフェクターを同定し、その骨形成における役割を解明することを研究目的とする。 BMPは、15種類以上のメンバーが知られており、一部は骨誘導活性を示さない。さまざまなBMPを比較検討した結果、骨誘導活性を示すBMPは、細胞内で共通にSmad1, Smad5およびSmad8のリン酸化を誘導することを確認した。3種類のSmadについて、C末端のリン酸化部位をアスパラギン酸に置換した構成的活性型変異体を作製した。これらの変異体は、リン酸化Smad1/5/8特異的抗体で認識されたことから、立体構造的にも、活性型Smadを模倣していると考えられた。構成的活性型Smadは、BMP特異的ルシフェラーゼレポーターを活性化し、筋芽細胞C2C12の骨芽細胞分化を誘導した。これらの活性は、Smad8がSmad1とSmad5よりも弱かった。各Smadが細胞内で発現を変化させる遺伝子群を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、BMPの細胞内情報伝達因子として重要なSmadの役割を解明することを目的とした。骨誘導活性のあるBMPは、細胞内で共通にSmad1、Smad5、およびSmad8のリン酸化を誘導したことから、各Smadの役割を解析する実験系の構築を試みた。この目的のため、我々が報告した構成的活性型変異を各Smadに導入し、3種のSmadが全てBMP非存在下でもBMPシグナルを活性化することを確認した。この活性がSmad8だけは極度に低いことが判明し、骨誘導活性が主にSmad1とSmad5によって伝達される可能性が示された。そこで、Smad1とSmad5がSmad8に比べて特異的に発現調節する遺伝子群を同定する目的で、マイクロアレイ解析を実施中である。これらの解析から、Smadの骨形成活性に重要な標的遺伝子が同定されることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイから明らかにされる、Smadの標的遺伝子群を解析し、Smadの骨誘導活性の全体像を明らかにする。また、Smad1/5がSmad8よりも骨誘導活性が高い機序を解析し、Smadの活性修飾因子を明らかにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していたマイクロアレイ解析費が、若干安く済んだため。 最終年度の一般消耗品費として使用予定である。
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