研究課題
挑戦的萌芽研究
マウス脊髄損傷モデルに対するコンディショニングの検討の解析マウス脊髄損傷モデルに先行して異なるタイミングでLPS投与を行い、その経過を観察した。その結果、脊髄損傷作成2日前にLPSを投与することで、受傷後の運動機能スコアが改善していることが明らかとなった。さらに発現サイトカインの変化を時間経過とともにみると、受傷前にLPSを投与したコンディショニング群では炎症性サイトカインTNFaが低値を示すなど、組織傷害が軽微であったことを示唆する所見が得られた。さらに脊髄損傷作成後6週後の組織像を観察すると、コンディショニング群では損傷を免れた残存組織面積が有意に増加していることが明らかとなった。以上の結果から、適切なタイミングでのLPS刺激は、その後に生じる脊髄損傷の炎症プロセスを変化させ、組織傷害を軽くする効果があることが初年度の結果として明らかになった。
1: 当初の計画以上に進展している
研究初年度において、コンディショニングの条件であるLPS投与のタイミングと投与量について十分に検討することができ、最終的に実験モデルを確立することができた。さらにコンディショニングによって組織損傷のプロセスが変化することを示唆する結果が得られ、次年度以降のメカニズム解析につながる成果となった。
炎症の状態を解析する軸として組織傷害性に働くM1反応と、修復に働くM2反応の視点から解析する。すなわち、初年度で確立したコンディショニングの実験系においてRT-PCR法、免疫染色、フローサイトメトリーなど、多面的な方法によってコンディショニングがM1とM2の機能にどのような影響を及ぼしたのかを解析する。また、受傷前の介入ではなく、受傷後の介入によって脊髄損傷のプロセスに影響を及ぼすことができないかを検討する。
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