研究課題
骨肉腫(OS)を始めとする骨軟部腫瘍の予後は、臨床的に肺転移により最も大きく左右される。最近、転移成立過程における循環がん細胞(CTC)並びに転移巣での生着、増殖の役割が大きくクローズアップされている。我々は研究室で樹立したマウス骨肉腫高肺転移株(LM8)を同種同所移植後、循環がん細胞(CTC)を生きたままで培養することに世界で初めて成功、CTCを原発巣のLM8と比較しCTCの方が高いanti-anoikis活性を有し浮遊培養条件下でも増殖することを報告した。また肺という原発巣と異なる環境下における腫瘍細胞の増殖にstiffnessの異なる条件下での3次元増殖に血管新生内皮増殖因子(VEGF)が重要な役割をする事を見いだした。マウスを用いた動物実験を行い、原発巣切除後にVEGFシグナルを阻害する低分子化合物を経口投与する事により、CTCの数やVEGFの血中濃度が減少する事、またCTCを培養する事によりanti-anoikis活性が元に戻る事等の実験結果を得て、論文報告、学会発表を行った。一方、種々の分子標的治療薬を用いた動物実験を行い、骨軟部腫瘍の増殖は一つのシグナル伝達系に依存するのではなく、可塑性に富んでおり、複数の阻害薬のcombinationが標的治療において非常に重要である事を明らかにし、論文発表、学会報告を行った。これら動物実験を円滑に進めるために、今年度は小型動物用の麻酔装置を物品として購入した。さらに今後の研究を展開するため、転移巣(における腫瘍の増殖)を標的とした治療法の開発を目指す新規の萌芽研究を計画立案し、H27年、28年度の科学研究費に応募し採択された。(課題15K15560)本研究の詳細な結果に関しては成果報告書にまとめる予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://www.mc.pref.osaka.jp/laboratory/department/seibutsu/