研究課題/領域番号 |
25670670
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
杉山 由紀 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (10468100)
|
研究分担者 |
川真田 樹人 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (90315523)
川股 知之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80336388)
田中 聡 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (60293510)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 先天性無痛症 |
研究実績の概要 |
先天性無痛症は、痛覚が消失する稀な遺伝性の疾患である。我々は、常染色体劣性遺伝と考えられる、高齢の先天性無痛症患者家系を発見した。前年度は、この患者家系の方、1名にオリゴヌクレオチドSNP arrayを行って、原因遺伝子を絞り込んだ。原因遺伝子が含まれている可能性が高い、5Mbを超えるloss of heterozygosity (LOH)領域は、9つ存在した。その中に、Nav1.7をコードするSCN9Aが含まれており、ミスセンス変異が生じていることを発見した。 今年度は、さらに同家系の別の無痛症患者の方に協力を依頼し、同様の検査を行った。2名に共通するLOH領域は2か所存在した。その中にSCN9Aも含まれており、同じ部位に変異があることが確認された。 また、詳細な生理学的検査により、2名とも、正常対照と比較し、熱刺激による痛みの感覚閾値の上昇(感覚鈍麻)と振動覚の閾値の上昇が認められた。また、C線維刺激による体性感覚誘発電位を測定したが、誘発脳波は測定できず、痛みを感じていないことが他覚的にも証明された。 このミスセンス変異がNaチャネルに機能異常を生じさせているかを検討するための、in vitroでの電気生理学的解析を開始した。SCN9Aの発現プラスミドの譲渡を依頼して、プラスミドを入手した。また、このプラスミドをもとに、患者と同様の変異を持つ発現プラスミドを作成した。これらをHEK293細胞にGFPとともに強制発現させ、電気生理学的な解析を行っている。
|