生後7日目のマウスに8%酸素曝露後時に0.5%イソフルラン1時間同時曝露後の脳神経発達に及ぼす影響を、8方向迷路学習を使って脳高次機能から評価し、その機序を脳エリスロポイチン、脳由来神経栄養因子、脳アポトーシスと脳神経シナプスの形成の点から検討した。妊娠マウスから出生した生後7日目の雄マウスを対象に、特製の低酸素ボックスで8%酸素1時間曝露群を対照(CTRL群)として、8%酸素曝露時に0.5%イソフルラン同時曝露した群(ISO群)に分ける。 1.8%酸素曝露終了9時間後に海馬を取り出し、脳由来神経栄養因子(BDNF)mRNA、エリスロポイエチン(EPO)mRNA、脳アポトーシスの指標であるcaspase-3 mRNA発現をreal time PCRで測定したところ、caspase-3 mRNA発現に両群で有意差はなかったが、ISO群で有意にBDNF mRNA発現は上昇時、EPOmRNA発現は低下していた。 2.8%酸素曝露終了9時間後に全脳を取り出し、エリスロポイエチン蛋白量をELISA法で測定したところ、両群で差はなかった。 3.8%酸素曝露終了後、生後8-9週後に、8方向迷路による空間認知学習機能を測定したところ、ISO群で有意に施行3日後の学習機能を低下していた。さたにシナプス小胞の指標であるシナプトフィジンの免疫染色で行うと、ISO群で、海馬のシナプトフィジン免疫染色性が低下していた。以上より、低酸素症時の0.5%イソフルランの同時曝露は、本来、低酸素応答として発現する内因性エリスロポイエチンの発現増加が抑制され、脳神経発達に影響を引き起こし、BDNF mRNA発現は増加し、学習機能が低下したものと考えられる。こんごさらにほかの吸入麻酔薬で検討する必要がある。
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