吸入麻酔薬が術後認知機能の原因となりえるか検討した。ヒトにおいてデスフルランはセボフルランと比較して術後認知機能検査所見が改善する傾向が示唆された。ニューロンの細胞骨格を維持するために重要な遺伝子であるMAPT遺伝子、APP遺伝子についてヒトでは認知機能検査所見と関連する遺伝子多型は発見できなかった。マウス海馬ニューロンにおける全mRNA解析を行った結果、幼若マウスにおいてはLhx9遺伝子の発現が最も減弱する一方で、成熟マウスにおいてはLhx9遺伝子の発現は増大する傾向が示唆された。Lhx9遺伝子の発現量は術後認知機能障害のバイオマーカーとなりえる可能性が示唆された。
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