研究課題/領域番号 |
25670675
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
福井 秀公 東京医科大学, 医学部, 講師 (90349499)
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研究分担者 |
岩瀬 直人 東京医科大学, 医学部, 助教 (40408141)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Bertolotti 症候群 / 上殿皮神経 |
研究概要 |
日本人の有訴率の第一位が腰痛であり、その多くが、非特異的腰痛と診断される。しかしながらその中に腰椎横突起から仙椎移行部の構造に変異があり、かつ同部位の痛みを訴えるBertolotti 症候群が含まれていることがある。Bertolotti 症候群は、一般に認知度が低く、痛みの発生原因や診断方法、治療方法が確立していない。本研究では、Bertolotti 症候群を診断し、非特異的腰痛におけるBertolotti 症候群の頻度を調査する。またBertolotti 症候群の献体を解剖し、神経の走行を確認する。最終的には痛みの発生原因を解明し、長期鎮痛効果が得られる治療法(神経ブロック)を確立することを目的とする。 当該年度は、ペインクリニック外来に慢性腰痛で受診した患者全例に対して、初診時に超音波および腰椎単純エックス線を施行し、腰仙椎移行部の距離および同部位に圧痛を認めるかどうかを確認した。上記を満たした患者に対して圧痛部位に局所麻酔薬単独あるいはステロイドとの混合液を投与し痛みの消失を確認し、痛みが消失した患者をBertolotti 症候群と診断した。全ての慢性腰痛の患者に対して、データベース化した。 当科外来に昨年度受診した慢性疼痛患者177症例に対して腰仙椎移行部に圧痛を認めた患者は、40症例でかつ、ほぼ全例で程度に差はあったが、痛みの低下を認めた。全体の約20%と、過去の報告に比べると頻度としては多いが、科の特殊性や診断が確立されていないことを考慮すると十分に考えうる割合と思われる。また同部位周囲の圧痛患者の中に、比較的浅層で痛みを訴える患者が存在した。解剖学的神経の走行より、上殿皮神経由来の痛みの可能性を疑い神経ブロックをしたところ、一時的な著効を得た。これらよりBertolotti 症候群と考えた症例の一部は上殿皮神経性の痛みの可能性があり、次年度以降の課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目的が、Bertolotti 症候群の診断をし、非特異的腰痛におけるBertolotti 症候群の頻度の調査であり、結果としては過去の報告より多くなったが、ペインクリニック科という痛みの専門科である特殊性から考えると妥当と考えており、研究は、順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ホルマリン固定献体を用いて、腰椎横突起と仙骨や腸骨周辺の神経の走行について観察し、痛みが起きる要因を検討する。 また、Thiel法固定献体を用いて、超音波ガイド下に腰椎横突起と仙骨や腸骨とのスペース(腰仙椎移行部)に色素を注入し薬液の広がりを確認し、痛みを抑えるのに効果的な神経ブロック薬液注入部位を探す。
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次年度の研究費の使用計画 |
超音波診断装置を購入するため 超音波診断装置を用いて、Thiel法固定献体に色素を注入し、腰仙骨移行部の構造を観察する。
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