日本人の有訴率の第一位が腰痛であり、8割以上の日本人が生涯において腰痛を経験している。そしてその多くが、非特異的腰痛と診断されている。しかしながらその中に腰椎横突起から仙椎移行部の構造に変異があり、かつ同部位の痛みを訴えるBertolotti 症候群が含まれていることがある。Bertolotti 症候群は、一般に認知度が低く、痛みの発生原因や診断方法、治療方法が確立していない。本研究では、Bertolotti 症候群を診断し、慢性腰痛に対する頻度を調査する。また献体の腰椎横突起から仙椎移行部を解剖し、その部位の神経の走行を明らかにするとともに、痛みの発生原因を解明する。最終的に長期鎮痛効果が得られる治療法を確立することを目的とする。 当該年度は、昨年度に引き続き非特異的慢性腰痛で当科外来を受診する患者の中から、腰部X線写真上で第5腰椎横突起・仙椎間の狭小化があり、第5腰椎横突起・仙椎移行部に圧痛が限局するBertolotti 症候群を疑う患者を選別して、超音波診断装置やX線透視を用いてブロック針を刺入し神経の走行と疼痛部位の一致を確認した。痛みの放散を認めた場合、同部位に局所麻酔薬を注入し痛みの消失を確認したものをBertolotti 症候群と診断した。 さらに長期の痛み軽減を目的に疼痛部位に高周波熱凝固法を施行した。この治療によって長期の痛み軽減効果を確認した。 本年度が最終年度のため、本研究期間を通じて当科外来受診した非特異的慢性腰痛患者のうちBertolotti症候群と診断した患者の割合とその効果についてまとめた(投稿準備中)。
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