研究実績の概要 |
「研究の目的」本研究の目的は、これまでになかった酸素投与装置を開発することである。出願した特許を元に、基礎研究から前臨床試験を進めることを目的とした。結果として、被搬送気体を、通常のマスクよりも単純な筒から放出する(噴流法)方法の方が、長距離搬送に優れ、さらには、二重の筒の内側から被搬送気体を放出し外側の筒から被搬送気体を逃がさないための気流を放出するエアカーテン法が、被搬送気体を長距離、安定して搬送できることを見出した。 「研究実施計画」では、当初、平成25年度に無風環境下で、種々の投与方法で、酸素を投与し、搬送距離毎に濃度を測定する予定だった。しかし、実施過程で高濃度酸素による火災の危険性が問題となったので、酸素の代わりに煙を用いて気流を可視化した実験に変更した。被搬送気体を単純な筒から放出する噴流法と、被搬送気体を渦輪状にし、飛ばして搬送する渦輪法とで、気体搬送距離の違いを見出した。1 L/分の放出では、噴流法では放出後5 cm程度の搬送距離で、煙は急速に拡散した。一方、渦輪法では75 cmの距離を煙が崩れず移動したので気体搬送方法の違いを非接触型酸素投与法として、利用できる可能性を見出したので、平成25年11月の臨床麻酔学会で発表した。計画の変更は平成25年度の実施状況報告書に反映させ、平成25年度後半と、平成26年度は、上述のエアカーテン法での被搬送気体の検討を行った。煙を用いた目視化による検討ののち、火災の対策のために、酸素でなく、二酸化炭素を用いて、搬送距離毎の二酸化炭素の濃度測定を行った。2, 4, 8, 10 L/分の種々の投与量のいずれにおいても、マスクよりも単純な筒、単純な筒よりも二重筒を使用したエアカーテン法の方が、CO2濃度を維持できる距離が長かった。渦輪法は、長距離輸送に優れていたが、空間移動中は濃度の濃淡が大きかったので評価対象外とした。
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