研究課題/領域番号 |
25670680
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
横山 修 福井大学, 医学部, 教授 (90242552)
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研究分担者 |
伊藤 秀明 福井大学, 医学部, 助教 (00345620)
三輪 吉司 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (10209968)
関 雅也 福井大学, 医学部附属病院, 医員 (70572444)
横川 竜生 福井大学, 医学部附属病院, 医員 (60529353)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 心理ストレス / 間質性膀胱炎 / 慢性骨盤痛症候群 / 副腎皮質刺激ホルモン放出因子 / HPA axis |
研究概要 |
過活動膀胱や間質性膀胱炎では、心理ストレスが症状の増悪因子であり、間質性膀胱炎・慢性骨盤痛症候群ではHPA axisの活性化が認められるという。視床下部の室傍核で合成される副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)は個体レベルのストレス反応の中核となる伝達因子であるが、その受容体が膀胱にも存在することが報告されている。膀胱ではCRFR2受容体が存在し、cyclophosphamide cystitisでは発現の増加がみられるという。われわれは、CRFを組織障害性の内因性物質としてCRFと膀胱機能について解析した。 慢性心理ストレス負荷方法は以下の2つの方法を用いた。 ①水回避ストレス:水を張ったプールの中心に水面上に少し出る高さで1匹分の面積しかない台を置き、その上にラットを2時間置く。これを5-10日間連続させた。ラット膀胱機能の評価に関しては、ラットを代謝ケージに入れ、1回排尿量、排尿回数をモニターした。その結果、1日当たりの排尿回数は増加せず、逆に有意に減少した。また膀胱組織由来のCRFは有意に増加していた。すなわち、ストレス負荷により膀胱自身がCRFを産生したが、これと膀胱容量の増大とはどのような関係があるのかは不明である。 ②闘争・敗北ストレス:強固な雄ラットに攻撃される雄ラットを作成し、30分間で1週間の連続するストレスがどのように排尿機能に影響を与えるか観察した。また膀胱瘻を作成し、覚醒下で膀胱内圧測定を行った。しかし、1日当たりの排尿量は有意に減少したが、1日当たりの排尿回数に有意な変化はみられなかった。ストレスが強いと排尿障害が生じてこないとの報告もあり、今後ストレスの種類を変えて再実験する必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
排尿機能に影響を与えるストレスの種類にはこれまで幾つかの報告があり、われわれはそのうち報告のあった水回避ストレスを採用した。しかし排尿反射は逆に抑制され、またCRFは膀胱で増加することが確認された。また闘争・敗北ストレスも同様に排尿反射に有意な変化を起こさなかった。慢性ストレスはその強度が問題で、軽度のストレスであれば排尿反射の亢進が起こり、強いストレスでは排尿に変化が生じないという報告もあり(2014JUA, abstract PP-289)、今後さらにストレスの種類と強度を調整する必要があると思われる。しかし、ストレスと関連して膀胱でCRF発現が増加していたのは新知見であり、このCRFがどのような影響を膀胱機能に与えるのか、興味深い。
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今後の研究の推進方策 |
排尿機能に影響を与えるストレスの種類にはこれまで幾つかの報告があり、今後われわれはミュニケーションボックス法によるストレス負荷を考慮する。これは透明なプラスチックで区切られた9×9の区画に1匹ずつラットを配置し、交互の床に電気刺激を加える。隣接する被電気刺激ラットの跳躍、悲鳴を観察させることにより心理ストレスを負荷する。ラットは8週齢の自然発生高血圧ラットを使用する。ストレス負荷を1分間に10秒2時間加え、これを5-10日間連続する。②膀胱内圧測定による評価:cystostomyを作成し、その5日後に膀胱内圧測定を覚醒下で行う。その際、CRFR2 antagonist のAsstressin 2B 、CRFR1 antagonist のAntalaminを投与してその効果を観察する。また、膀胱組織由来のCRFの濃度を測定して、関連を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験の進捗状況としてやや遅れていると思われ、次年度により多くの実験を予定しているために繰越金を計上した。 実験動物(ラット)及び試薬等の購入費にあてる。
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