研究課題/領域番号 |
25670685
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
岡田 淳志 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70444966)
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研究分担者 |
郡 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30122047)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40326153)
廣瀬 泰彦 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (60381894)
広瀬 真仁 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70529172)
新美 和寛 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70551274)
濱本 周造 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80551267)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 尿路結石 / op/op / マクロファージ / マイクロアレイ |
研究概要 |
+/+およびop/opマウスにグリオキシル酸80mg/kgを連日腹腔内投与し、day0,3,6,9,12にて腎組織を採取してRNeasy mini kit(Qiagen)を用いてRNAを精製し、3’IVT Express kitにてaRNAを合成後、Mouse Genome 430 2.0 Arrayへのhybridizationを行った。DataはGeneSpring GX11.0を用いて解析した。 その結果、グリオキシル酸投与前のop/opマウスの腎組織は+/+と比べて、Gene Ontology解析において、抗原結合, 免疫複合体, 液性免疫反応, 貪食, 免疫炎症反応のdown-regulationを認めた。 結石形成期であるday3-6にかけて、op/opマウスでは血管内皮細胞の調整や炎症・細胞周期に係わる遺伝子群のup-regulationを認め、ケモカイン産生や顆粒球の活性化の促進やadenosine receptorの活性化に係わる遺伝子群のdown-regulationを認めた。 結石消失期であるday9-12にかけては、op/opマウスではB細胞やリンパ球を介した免疫機構に係わる遺伝子群のup-regulationを認め、また細胞増殖や細胞周期に係わる遺伝子群の down-regulationを認めた。 これらの結果から、op/opマウスの腎では、免疫機構の破綻によって炎症・細胞障害が促進され、結石形成の増加と消失の低下を生じた可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画に基づき、マイクロアレイ解析を行った。 現在は抽出された遺伝子発現を順次定量PCRなどの手段で確認している。
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今後の研究の推進方策 |
●ヒト血液抽出Mφを用いた結晶貪食in vitroモデルの確立と貪食制御試験 (1)血液からのMφ分離と結晶貪食モデルの確立:腎結石患者及び健常者の採血を施行する。末梢血からマイクロビーズ用分離装置を用いてMφを分離培養する。また培養Mφにシュウ酸カルシウム1水和物(COM)結晶を添加し、結晶貪食率を測定する。(2)M-CSFおよび関連因子投与による結晶貪食能の変化についての解析:ヒト血液からの分離Mφに対し、ヒト組換え型M-CSF(hrM-CSF)およびI研究にて同定されたMφ関連因子で入手可能な物質を投与し、COM結晶貪食率の変化を観察する。研究に用いたMφからはRNA、蛋白を抽出し、定量PCR, Western blottingにて関連遺伝子発現の変化を確認する。最終的に、結石貪食率に有意な増加を認めた因子についてのみ、次段階の研究に採用する。 ●動物を用いた腎結石防御 in vivoモデルの確立と制御因子の機能解析 (1)ラット・サル動物モデルの確立:ラットに対しシュウ酸前駆物質であるエチレングリコール(EG)を投与すると、腎シュウ酸カルシウム結石が形成される。この手法を応用して、サルにおいても腎結石形成モデルを確立する。腎結石形成量の定量は、動物用CT装置をレンタルして用いる。EG投与後、麻酔下に腎を採取し、Pizzolato染色・偏光顕微鏡観察により結石形成を確認する。Mφ関連因子の発現に関しては、摘出腎組織の免疫染色、ならびにWestern Blotting、および定量PCRによって確認する。さらに透過型電子顕微鏡を用いて、腎Mφが腎結石を貪食する像を捉える。(2)動物モデルに対する結石防御実験:EG投与と併行して、これまでの研究で選出したMφ制御因子を動物モデルに投与する。さらに投与薬剤による副作用を確認するため、血液を採取して肝・腎機能傷害を含めた確認を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度実施したマイクロアレイの結果、抽出された遺伝子群について、引き続き定量PCR、免疫染色・Western blotで確認する必要があるため。 定量PCRのためのTaqManプローブ、免疫染色・Westen blotの為の抗体、ならびにその試薬のための経費が必要である。
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