「腎結石の自然消失」という新しい概念の樹立と溶解療法の開発への応用

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 25670685
• 研究機関: 名古屋市立大学
• 研究代表者: 岡田 淳志 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70444966)
• 研究分担者: 郡 健二郎 名古屋市立大学, その他部局等, 学長 (30122047) ; 安井 孝周 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40326153) ; 廣瀬 泰彦 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60381894) ; 広瀬 真仁 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70529172) ; 新美 和寛 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70551274) ; 濱本 周造 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80551267)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 尿路結石 / マクロファージ / 結晶貪食 / Randall's plaque / ゲノムワイド解析

研究実績の概要

本研究では、「腎結石の自然消失現象」の要因となっているM2型Mφの「腎結石貪食機能」を制御するための遺伝子群を同定し、その成果を応用して新たな腎結石の予防治療のための創薬を目標として、遺伝子変異動物、共培養システムを用いて以下の3つの研究を行うものであった。
1. M2型Mφ機能不全マウス(op/op)におけるゲノムワイド解析：腎結石防御能が減弱しているM2型Mφ機能不全マウス(op/op)において関連遺伝子群を同定する。
2. ヒト血液抽出Mφを用いた結晶貪食in vitroモデルの確立と貪食制御試験：結石患者・健常者の血液Mφを用いた結晶貪食試験を行い、制御因子を同定する。
3. 動物を用いた腎結石防御 in vivoモデルの確立と制御因子の機能解析：1.2.研究の成果に基づき、腎結石形成モデル動物(ラット、サル)に対し同定因子を投与し、結石形成抑制効果を観察するとともに、ヒト腎結石の治療に応用しうるデータを集積する。
前年度までの報告の通り、op/opマウスにおけるゲノムワイド解析の成果に基づき、骨髄由来Mφを用いた結晶貪食in vitroモデルの確立を行い、分化誘導させたM2-Mφの貪食能亢進を報告した。本年度は、血液分離Mφの貪食研究を当初予定していたが、この近年欧米における腎乳頭粘膜下石灰化(Randall's plaque)が結石形成起点であるとの学説が主流となりつつあった、このため、まずは手術中に採取したヒト腎乳頭の生検組織の検討が必須と判断し、ヒト組織を用いたゲノムワイド解析とその結果に基づいた免疫組織学的解析を実施した。その結果、ヒト腎結石形成過程において初めてM1/M2-Mφの関与を示唆するデータが得られ、論文を作成し受理された。

研究成果

• [雑誌論文] Proinflammatory and Metabolic Changes Facilitate Renal Crystal Deposition in an Obese Mouse Model of Metabolic Syndrome. (2015)
  • 著者名/発表者名: Taguchi Kazumi, Okada Atsushi, Hamamoto Shuzo, Iwatsuki Shoichiro, Naiki Taku, Ando Ryosuke, Mizuno Kentaro, Tozawa Keiichi, Kohri Kenjiro, Yasui Takahiro
  • 雑誌名: Journal of Urology, 巻: 194 ページ: 1787-96
  • DOI: 10.1016/j.juro.2015.07.083.
  • 査読あり
• [学会発表] Hypercalciuria and migration of inflammatory macrophages play key roles for kidney stone formation in metabolic syndrome. (2015)
  • 著者名/発表者名: Taguchi Kazumi, Unno Rei, Fujii Yasuhiro, Hamamoto Shuzo, Ando Ryosuke, Okada Atsushi, Yasui Takahiro, Fujita Keiji, Tozawa Keiichi, Hayashi Yutaro, Kohri Kenjiro
  • 学会等名: American Urological Association Annual Meeting 2015
  • 発表場所: New Orleans（USA）
  • 年月日: 2015-05-15 – 2015-05-19
  • 国際学会
• [学会発表] The role of renal tubular cell injury in the earlyperiod of renal crystal formation identified from the cell injury-inhibiting effect of green tea. (2015)
  • 著者名/発表者名: Hirose Masahito, Banno Rika, Kanemoto Kazuhiro, Okada Atsushi, Yasui Takahiro, Sakakura Takeshi, Tozawa Keiichi, Kohri Kenjiro
  • 学会等名: American Urological Association Annual Meeting 2015
  • 発表場所: New Orleans（USA）
  • 年月日: 2015-05-15 – 2015-05-19
  • 国際学会
• [学会発表] Gene expression profile of Randall's plaque in idiopathic CaOx stone formers suggests dysregulation of Mφ-related genes. (2015)
  • 著者名/発表者名: Taguchi Kazumi, Unno Rei, Fujii Yasuhiro, Naiki Taku, Hamamoto Shuzo, Ando Ryosuke, Kanemoto Kazuhiro, Okada Atsushi, Yasui Takahiro, Tozawa Keiichi, Hayashi Yutaro, Kohri Kenjiro
  • 学会等名: American Urological Association Annual Meeting 2015
  • 発表場所: New Orleans（USA）
  • 年月日: 2015-05-15 – 2015-05-19
  • 国際学会
• [学会発表] シュウ酸カルシウム結石患者に特異的な新規尿中因子IL-4の同定 (2015)
  • 著者名/発表者名: 岡田 淳志、安井 孝周、田口 和己、海野 怜、藤井 泰普、濵本 周造、広瀬 真仁、戸澤 啓一、郡 健二郎
  • 学会等名: 第103回日本泌尿器科学会総会
  • 発表場所: 石川県立音楽堂、ANAクラウンプラザホテル金沢他(石川県金沢市)
  • 年月日: 2015-04-18 – 2015-04-21
• [学会発表] 尿路結石の分子機構の解明と溶解療法に向けた研究戦略 (2015)
  • 著者名/発表者名: 安井 孝周、田口 和己、濵本 周造、岡田 淳志、戸澤 啓一、郡 健二郎
  • 学会等名: 第103回日本泌尿器科学会総会
  • 発表場所: 石川県立音楽堂、ANAクラウンプラザホテル金沢他(石川県金沢市)
  • 年月日: 2015-04-18 – 2015-04-21
  • 招待講演
• [学会発表] マクロファージによる尿路結石防御メカニズムの解明と溶解療法への臨床応用 (2015)
  • 著者名/発表者名: 田口 和己、海野 怜、安藤 亮介、岡田 淳志、戸澤 啓一、安井 孝周、郡 健二郎
  • 学会等名: 第103回日本泌尿器科学会総会
  • 発表場所: 石川県立音楽堂、ANAクラウンプラザホテル金沢他(石川県金沢市)
  • 年月日: 2015-04-18 – 2015-04-21
  • 招待講演
• [学会発表] シュウ酸カルシウム結石の発生母地「Randall’s Plaque」の制御因子同定による尿路結石分子標的治療の開発 (2015)
  • 著者名/発表者名: 田口 和己、海野 怜、濵本 周造、安藤 亮介、金本 一洋、岡田 淳志、安井 孝周、藤田 圭治、戸澤 啓一、郡 健二郎
  • 学会等名: 第103回日本泌尿器科学会総会
  • 発表場所: 石川県立音楽堂、ANAクラウンプラザホテル金沢他(石川県金沢市)
  • 年月日: 2015-04-18 – 2015-04-21