精子幹細胞をターゲットとした男性不妊症の診断ツールと新規治療法の開発

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 25670686
• 研究機関: 名古屋市立大学
• 研究代表者: 林 祐太郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40238134)
• 研究分担者: 神沢 英幸 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00551277) ; 西尾 英紀 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10621063) ; 郡 健二郎 名古屋市立大学, その他部局等, 学長 (30122047) ; 黒川 覚史 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50468253) ; 小島 祥敬 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60305539) [辞退] ; 水野 健太郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70448710)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 精子幹細胞 / 男性不妊症 / UTF1 / KDM5A

研究実績の概要

有効な治療法がない男性不妊症の対策は世界的な急務である。その中で、私たちは精子幹細胞が造精機能に与える影響を明らかにすることが、男性不妊症の機序解明および新規治療の開拓のキーになるのではと考えた。そこで本研究では造精機能障害モデル動物の精巣生検を用い、精子幹細胞活性マーカーであるUTF1（undifferentiated embryonic cell transcription factor 1）の発現と局在をRT-PCR、Western blotting、免疫染色などの手法を中心に検討した。その結果、精子幹細胞には活性型と潜在型が存在し、その比率が精子幹細胞活性として将来の妊孕性評価に重要な指標であることを見出した。同様にヒト停留精巣についても手術時に得た生検検体を用いて、停留精巣における造精機能障害を精子幹細胞活性により予測できることも明らかにした。UTF1は造精機能障害の最大要因である停留精巣の将来の精巣機能を予測するツールとして有用であり、男性不妊症の治療診断に生かせる成果であると思われた。
また私たちは男性不妊症患者の検体を用い、停留精巣の既往をもつ男性の成人期の精子幹細胞活性の変動および体細胞系の形態異常などを検討した。その結果、停留精巣によりセルトリ細胞の成熟異常や精子幹細胞のアポトーシス亢進が示唆される結果を得た。
これらの新規知見をもとに、これまで救済しえなかった男性不妊症患者においても治療が可能とできるような成果を得るべく研究をすすめている。

研究成果

• [雑誌論文] 泌尿器科疾患 ウィルムス腫瘍（腎芽腫） (2015)
  • 著者名/発表者名: 林 祐太郎
  • 雑誌名: 今日の治療指針 2015 巻: なし ページ: 1078
  • 査読あり
• [雑誌論文] 先天性および小児泌尿器科疾患 尿道下裂 (2015)
  • 著者名/発表者名: 林 祐太郎、守時 良演、水野 健太郎
  • 雑誌名: 臨床泌尿器科 巻: 69 ページ: 326-331
  • 査読あり
• [雑誌論文] 先天性および小児泌尿器科疾患 包茎 (2015)
  • 著者名/発表者名: 林 祐太郎、黒川 覚史、水野 健太郎
  • 雑誌名: 臨床泌尿器科 巻: 69 ページ: 332-335
  • 査読あり
• [雑誌論文] 尿道下裂 (2015)
  • 著者名/発表者名: 林 祐太郎、守時 良演、西尾 英紀、水野 健太郎
  • 雑誌名: 泌尿器外科 巻: 28 ページ: 175-183
  • 査読あり
• [雑誌論文] 膀胱尿管逆流 (2015)
  • 著者名/発表者名: 林 祐太郎
  • 雑誌名: 今日の診断指針 第7版 巻: なし ページ: 1737-1738
  • 査読あり
• [雑誌論文] 停留精巣治療ガイドライン―諸外国ガイドラインとの比較考察― (2015)
  • 著者名/発表者名: 林 祐太郎
  • 雑誌名: 小児外科 巻: 47 ページ: 873－880
  • 査読あり
• [雑誌論文] 実践マニュアル 小児VURの治療 (2015)
  • 著者名/発表者名: 林 祐太郎、水野 健太郎
  • 雑誌名: Urology Today 巻: 22 ページ: 234-239
  • 査読あり
• [雑誌論文] Novel Splice Site Mutation in MAMLD1 in a Patient with Hypospadias. (2015)
  • 著者名/発表者名: Igarashi M, Wada Y, Kojima Y, Miyado M, Nakamura M, Muroya K, Mizuno K, Hayashi Y, Nonomura K, Kohri K, Ogata T, Fukami M.
  • 雑誌名: Sexual development 巻: 9 ページ: 130135
  • DOI: 10.1159/000380842
  • 査読あり
• [雑誌論文] Clear cell sarcoma of the kidney distinguished from synovial sarcoma using genetic analysis: a case report. (2015)
  • 著者名/発表者名: Hirose M, Mizuno K, Kamisawa H, Nishio H, Moritoki Y, Kohri K, Hayashi Y
  • 雑誌名: BMC Research Notes 巻: 8 ページ: 129
  • DOI: 10.1186/s13104-015-1100-5
  • 査読あり
• [雑誌論文] First case report of staghorn calculi successfully removed by mini-endoscopic combined intrarenal surgery in a 2-year-old boy. (2015)
  • 著者名/発表者名: Taguchi K, Hamamoto S, Okada A, Mizuno K, Tozawa K, Hayashi Y, Kohri K, Yasui T.
  • 雑誌名: International journal of urology 巻: 22 ページ: 978-980
  • DOI: 10.1111/iju.12860
  • 査読あり
• [雑誌論文] Neuroendocrine Carcinoma of the Kidney and Bladder with Loss of Heterozygosity and Changes in Chromosome 3 Copy Number. (2015)
  • 著者名/発表者名: Okada A, Iida K, Hamakawa T, Umemoto Y, Yasui T, Kawai N, Tozawa K, Sasaki S, Hayashi Y, Kohri K.
  • 雑誌名: The american journal of case report 巻: 16 ページ: 611-616
  • DOI: 10.12659/AJCR.894274
  • 査読あり
• [雑誌論文] Laparoscopic Versus Open Radical Cystectomy for Patients Older than 75 Years: a Single-Center Comparative Analysis. (2015)
  • 著者名/発表者名: Yasui T, Tozawa K, Ando R, Hamakawa T, Iwatsuki S, Taguchi K, Kobayashi D, Naiki T, Mizuno K, Okada A, Umemoto Y, Kawai N, Sasaki S, Hayashi Y, Kohri K
  • 雑誌名: Asian Pacific Journal of Cancer Prevention 巻: 16 ページ: 6353-6358
  • 査読あり
• [雑誌論文] Laparoscopic modified bypass pyeloplasty: a simple procedure for straightforward ureteral spatulation and intracorporeal suturing. (2015)
  • 著者名/発表者名: Haga N, Sato Y, Ogawa S, Yabe M, Akaihata H, Hata J, Ishibashi K, Mizuno K, Hayashi Y, Kojima Y
  • 雑誌名: Internatonal Urology and Nephrology 巻: 47 ページ: 1933-1938
  • DOI: 10.1007/s11255-015-1123-9
  • 査読あり
• [学会発表] Short- and long-term results of surgical correction for buried penis. (2016)
  • 著者名/発表者名: Hayashi Yutaro, Mizuno Kentaro, Nishio Hidenori, Moritoki Yoshinobu, Kamisawa Hideyuki, Nakane Akihiro, Kurokawa Satoshi, Maruyama Tetsuji, Yasui Takahiro
  • 学会等名: The 31th Annual Congress of the European Association of Urology
  • 発表場所: Munich（German）
  • 年月日: 2016-03-11 – 2016-03-15
  • 招待講演
• [学会発表] 小児陰嚢内疾患 「小児陰嚢内疾患診療指針の必要性を問う」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 林 祐太郎
  • 学会等名: 第24回日本小児泌尿器科学会総会・学術集会
  • 発表場所: 御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター（東京都千代田区）
  • 年月日: 2015-07-01 – 2015-07-03
  • 招待講演
• [学会発表] 『小児泌尿器科学における基礎研究の意義と面白さ』 (2015)
  • 著者名/発表者名: 林 祐太郎
  • 学会等名: 第24回日本小児泌尿器科学会総会・学術集会
  • 発表場所: 御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター（東京都千代田区）
  • 年月日: 2015-07-01 – 2015-07-03
  • 招待講演
• [学会発表] 小児泌尿器科学における基礎研究のオーバービュー (2015)
  • 著者名/発表者名: 林 祐太郎
  • 学会等名: 第24回日本小児泌尿器科学会総会・学術集会
  • 発表場所: 御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター（東京都千代田区）
  • 年月日: 2015-07-01 – 2015-07-03
  • 招待講演
• [学会発表] Long-term results of the surgical correction for buried penis (2015)
  • 著者名/発表者名: Hayashi Yutaro, Mizuno Kentaro, Kohri Kenjiro
  • 学会等名: The Society for Pediatric Urology 63rd Annual Meeting
  • 発表場所: New Orleans（USA）
  • 年月日: 2015-05-15 – 2015-05-17
  • 国際学会
• [学会発表] 高度の尿道下裂に対する小柳法78例の経験 (2015)
  • 著者名/発表者名: 林 祐太郎、水野 健太郎、郡 健二郎
  • 学会等名: 第103回日本泌尿器科学会総会
  • 発表場所: 石川県立音楽堂、ANAクラウンプラザホテル金沢 他（石川県金沢市）
  • 年月日: 2015-04-18 – 2015-04-21