研究課題/領域番号 |
25670687
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
三木 恒治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10243239)
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研究分担者 |
木村 泰典 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20398374)
鴨井 和実 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40295663)
上田 崇 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50601598)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | MRTF分子 / 前立腺癌治療 / 細胞骨格 / 癌転移抑制 |
研究概要 |
我々は in vitroにおいて、前立腺癌の腫瘍形成や転移といった悪性化を抑制するたんぱく質としてMyocardin Related Transcription Factor(MRTF)を発見した。MRTFはアクチンを束ねるCaldesmon(CaD)やTropomyosin(TM)の発現を上昇させ、細胞骨格を強固にすることで前立腺癌の悪性化を防ぐ働きをしている。MRTFのたんぱく質量や活性を上昇させる技術は前立腺癌転移を防ぎ、死亡率を減少させるような画期的治療の開発につながるものと期待される。 本研究の目的は、MRTFを介する細胞骨格制御signal passwayの解明と、マウスを用いたMRTFの癌浸潤・転移抑制効果の検討を基礎研究として、将来的にMRTFを分子標的とした新しい癌転移抑制治療法の開発に結び付けることである。 平成25年度は前立腺癌細胞株LNCaPを前立腺癌細胞モデルとして用いて、MRTFの癌転移を抑制するsignal passwayの解明を行なうことと、次年度のマウスを使った生体内での癌転移抑制効果の実験のためluciferaseとMRTFを強制発現させるためのレトロウイルスベクターの構築を目標とした。 具体的にはLNCaP細胞株のゲノムからMRTFプロモーター領域のクローニングを試みた。またLNCaP細胞においてMRTFの過剰発現またはsiRNA を用いてMRTFのノックダウンを行い、マトリゲルアッセイにて細胞の浸潤能を観察した。 その結果LNCaPに細胞おけるMRTFのノックダウンは前立腺癌細胞の浸潤能を抑制することが判明した。MRTFプロモーター領域のクローニングに関しては難渋中であり、BACクローンを用いたクローニングを施行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
LNCaP細胞からゲノムを抽出し、MRTFプロモーター領域のクローニングを試みたが、PCRの段階で難渋した。制限酵素で切断する等も試みたがPARが走らず、現在BACクローンを購入し、再施行中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、実際にマウスの心腔内にMRTFを過剰発現させた転移性前立腺癌細胞株PC-3を投与し、癌の転移が抑制されるかを確認する実験を行なう。GFPを発現する空ベクターを発現させたPC-3前立腺癌細胞株とMRTFを強制発現させたPC-3前立腺癌細胞株とで浸潤能の比較を行う。 次にマウスを用いて生体内でMRTFは前立腺癌の転移を抑制する効果をもつことを証明する。MRTFをレトロウイルスベクターに乗せて転移性前立腺癌細胞株PC-3に遺伝子導入し、その細胞を心腔内投与する。これにより転移巣が形成されるが、MRTF強制発現群ではコントロール群に比べ、転移が抑制されることを証明する。 これらin vitro, in vivoの基礎研究データが前立腺癌転移を抑制するMRTFをターゲットとした分子標的治療薬の開発の臨床応用へとつながっていくものと考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入予定薬品・物品等の変更、価格の変更があり、残額が生じた。 MRTF強制発現が実際に前立腺癌転移を抑制するかヌードマウスへの移植実験を行うためマウスの購入費として使用する予定。レトロウィウルスヴェクターの作成に関しては消耗品に使用する予定である。
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