研究課題
挑戦的萌芽研究
子宮体癌細胞株HEC-50B細胞を対象に、レンチウイルスの発現ベクターを用いて対照クローンとmiR-31過剰発現クローンを作成し、それぞれの形質の差異について比較検討した。その結果、in vitro での腫瘍形成能(colony formation assay)、およびヌードマウスを用いたin vivoでの腫瘍形成能の有意な亢進が確認された。そこで、miR-31による腫瘍形成能促進に関与する標的分子を同定するためにデータベース検索を行い、癌抑制遺伝子の一つであるLATS2とLATS2が関与しているhippo signaling pathwayの変化に注目して解析を行った。その結果、miR-31の過剰発現によりLATS2の発現が低下していること、luciferase reporter assayによりmiR-31がLATS2への直接的な結合を介してLATSの発現を抑制していること、miR31阻害剤によりLATS2の発現が増加することを確認した。さらに、si-RNAを用いたLATS2の発現抑制実験の結果、in vitroでの腫瘍形成能が有意に促進された。ついで、hippo signaling pathwayにおいて重要な役割を果たしているYAPの細胞内局在に着目して解析を行ったところ、YAPの郭内への移行が対照に比べてmiR-31過剰発現クローンで有意に亢進してうることが確認された。核内に移行したYAPは、種々の抗アポトーシス蛋白や増殖促進分子の発現を亢進すると考えられていることから、今後どのような分子の発現が調節されているのかについて解析を進める予定である。
2: おおむね順調に進展している
miR-31が子宮体癌細胞の腫瘍形成能の亢進に関与していること、すなわちoncomirとして機能することが確認されており、概ね順調であるといえる。
残りの1年で子宮体癌の腫瘍形成に関与するmiR-31-LATS2-YAPの下流の分子を同定する。それらの発現が、in vitro、in vivoでの腫瘍細胞において発現が変化していることをwestern blot解析や免疫組織染色の手法を用いて解析する。また、臨床サンプルを用いて手術検体におけるmiR-31、LATS"の発現を解析し、病理学的悪性度や予後との関連について検討する予定である。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
Carcinogenesis
巻: 35 ページ: 760-768
10.1093/carcin/bgt369
Molecular Carcinogenesis
巻: 53 ページ: 349-359
10.1002/mc.21983